【大紀元日本8月18日】土用のうなぎを、なぜ山椒とあわせて食べるのか。うなぎの臭味を消すため、或いはうなぎの油っぽさを消すためという説があるが、確かなことは分からない。
食文化として長い間伝えられてきた習慣には、必ずそれなりの理由がある。漢方医学の立場から考えれば、その理由は非常に理解しやすい。土用の時期は湿気が多いため、胃腸の機能が湿気によって弱くなり、食欲不振や消化不良を起こしやすい。また、うなぎは栄養満点だが、確かに油っぽくて消化が悪い。そこで、うなぎに山椒の粉末を組み合わせれば、この問題を完璧に解決できるのである。
山椒は生薬として使う場合に、湿気を追い払い、胃腸を温め、消化を促進する効果がある。もちろん、うなぎの油っぽさを消したり、臭味を消したりする効果もあるので、最適の組み合わせである。
このような食文化は、他にもたくさんある。例えば、刺身に紫蘇の葉、おにぎりに紅生姜を添えるなどもそうである。生薬の本を調べてみれば、紫蘇や生姜には、魚や蟹などの毒を消す効果がある。これをあわせて食べれば、食中毒の予防効果が発揮できる。
同じやり方は、中国でも見られる。例えば、四川省の麻婆豆腐は、「麻」と「辛」が強いのが本場の味である。「麻」とは、調理をするとき、たくさんの山椒の粉末を使うので、食べるときに舌の痺れを感じるという意味である。四川省は湿気が多いので、湿気を払い、胃腸の機能を活発にさせるための工夫であり、土用のうなぎに山椒と同じ意味である。
(漢方医師 甄 立学)
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