紀元曙光(16)

【大紀元日本2月17日】ハムレットは、「生きていくか、生きていくまいか、それが問題だ」と深く悩んでいた。21世紀も6年目の今、デンマーク王子と縁が遠い東方の中国に、赤色の舞台が設置され、共産主義の時代劇の最終幕が上演されている。中華大地の人々は、それぞれキャラクターを担い、ハムレットのセリフを踏襲しつつさまざまなバリエーションを展開している。

最終幕だが、党首らは主役であるからには、その役柄を果たさなければならない。脱党運動が高まっている当今、観衆がばらばらも想定内だが、芸を見せる度に、半畳を入れなければ罵声を招くのだ。「さあ、自ら舞台を降りようか、それとも百姓一揆まで痩せ我慢するか」、舞台の下にわき目をふりつつ、主役らは常に心で呟く。

「舞台が崩れそうだが、表情を崩してはならない、辛抱がカネだ」「終焉が近づくと言われつつも、長いものに流れろ」「この人殺しの劇を一刻も早く終わらせるべきと知りつつも弱い自分がいる」……脇役たちは十人十色、それぞれに胸算用を抱いている。にもかかわらず、また共通の難儀もある。「中共の崩壊は必至だが、それは近い内か、それとも長い将来か」と。

バンド役たちは、主役らの音痴や調子外れを伴奏により粉飾・誤魔化されていることや、裏舞台の実態を知り尽くしている。故に、とっさに猫ばばした金貨や妻子を安全な所に移したりした者もあれば、主役や脇役らの罪証を手にしておき、出すべき時に立派に曝してやろうという反骨もある。だが、「今に楽器を捨てて逃げようか、それともみんなの一目散を待とうか」、バンド役らは遅疑逡巡する。

民の多くは、とっさにこの劇を厭き、特に鴉を鷺と言い、地獄を天国と言うそのセリフは嫌悪きわまりだ。舞台の主役は自分たちが担うべきなのに、悪魔に奪われた。天が中共を滅ぼしている今、「さあ、今直ちにこの悪魔を舞台から追い出し、自分たちが新しい劇を演じるか、それともしばらく風雲を見て動こうか」、優柔不断である。

しかし、時は「生きていくか、生きていくまいか」的な躊躇を常しえに許すことができず、間もなく斬新な一ページを開くだろう。

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