朝の白湯が体にやさしい理由

冷水浴、プロテインシェイク、20ステップの朝ルーティンに夢中になるウェルネス文化の中で、最近話題になっている習慣は、朝一番に飲む一杯の白湯です。

アダプトゲンもコラーゲンも入っていないのに、シンプルな白湯が静かに人気を集めています。中医学の実践者にとっては、これはただの日常的な朝の習慣に過ぎないため、皮肉な状況だと言えます。

「西洋の世界で今トレンドになっているのを見るのは興味深いですね」と、幼少期から毎朝白湯を飲んでいる中医学実践者のフェリーチェ・チャン氏はエポックタイムズに語りました。

中国の家庭では、何世代にもわたってこの習慣が普通に行われています。

「中医学では、白湯は即効性のある解決策というより、長寿と毎日の健康維持のためのものです。本当に小さな習慣ですが、長期的には体を支えてくれます」と彼女は言います。
 

古くからの習慣

中医学における温・冷の食べ物や飲み物の考え方は、紀元200〜300年頃の古典医学書にまで遡ります。そこでは温かいものは、陰陽の動的なバランスに依存する体の内部バランスと消化機能を支えるものと理解されていました。

温かい食べ物や飲み物は血行を促進し、消化器官を活発に保つことで、食べ物を「転化」して使えるエネルギー(気)に変える体の働きを助けると考えられています。これは中医学が、長期的な健康な老化と結びつける要因です。

中医学では、長寿とは単に長く生きることではなく、長年にわたって体をバランスよく機能させることです。特に脾と胃などの消化器官が活発で支えられていると、体は湿や停滞などの不均衡を溜め込みにくくなり、中医学ではこれを疲労、病気、加齢による衰えと関連づけています。

チャン氏は、舌に白い苔がついている患者(中医学で湿の過剰のサインで、消化不良や体内の不均衡と関連)によく白湯を勧めます。

「温かい水は体の消化の火を支え、脾と胃が食べ物と水分をより効率的に転化するのを助け、代謝と全体的なエネルギーを支えます」と彼女は言います。

消化の火とは、食べ物を処理してエネルギーに変える力のことです。

実際、消化の改善は内側だけではありません。日常の感じ方にも現れます——チャン氏自身もそうだと語ります。

「これを飲むことで、頭が冴え、脳の霧が減り、エネルギーが高まり、頑固な体重増加や膨満感の改善にもつながります」と彼女は言います。

中医学では、消化が良くなると食べ物をより効率的にエネルギーに変換できるため、思考がクリアになり、だるさや脳の霧が軽減されると考えられています。また、消化が安定すると1日を通じてエネルギーレベルが安定し、急激な上昇や低下を防げます。

体が食べ物と水分をより効果的に処理できるようになると、膨満感やむくみも減り、代謝を支えて食後の重だるさを軽減するため、長期的には体重管理がしやすくなると彼女は言います。

一方、冷たい飲み物はこのプロセスを遅らせると考えられています。中医学では、体が冷たい飲み物を消化する前に温めるために余分なエネルギーを使わなければならず、これが消化の「火」を弱めるとされます。冷たい飲み物は胃と脾を「冷やし」、消化を遅らせ、胃痛、下痢、消化不良などの不快感を引き起こす可能性があります。

ただし、人によっては冷たいスムージーを飲むと元気が出ると感じる場合もあると、中医学医師で「Amavi Wellness」の創設者であるマリカ・スード氏はエポックタイムズに語りました。

「しかし、他の人、特にすでに消耗している人や、もともと『冷え』の体質の人にとっては、これらの習慣が疲労、消化、ホルモンバランスを悪化させる可能性があります」とスード氏は言います。

また、冷たい飲み物は気管に影響を及ぼし、喘息発作や咳を引き起こす可能性があります。一般的に、研究では熱い飲み物を飲む方が、鼻水、咳、喉の痛み、くしゃみなどの風邪やインフルエンザ症状の緩和に、より役立つことが示されています。
 

科学的根拠

白湯自体に独自の健康効果があるという直接的な科学的証拠は限られています。しかし、温度に関係なく、水分補給が消化と全体的な健康を支える役割はよく裏付けられています。

ただし、消化に限って言えば、温かい飲み物には追加の利点があるかもしれません。

「温かい飲み物を飲むと、消化管の筋肉をリラックスさせ、消化管への血流を増加させることで、消化と腸の健康を改善できる可能性があります」と、コルゲート大学の管理栄養士アリソン・バウワーズ氏はエポックタイムズに語りました。「これは誰にとっても排泄を助け、特に過敏性腸症候群などの消化器疾患で苦しむ人には、より役立ちます」

一般的に水分が不足すると便秘になりやすいため、体格、健康状態、活動レベルに合った適切な量を飲むことが推奨されます。
「腸の健康のために温かい飲み物を飲むことは、誰にでもメリットがあります」とバウワーズ氏は言います。

心臓に疾患のある人は、脱水も過剰な水分摂取も心臓に負担をかけるため、医師が示す水分摂取のガイドラインを守るべきですと、彼女は指摘します。

白湯愛好家が挙げる肌やエネルギーへのメリットは臨床的に明確に証明しにくいものの、一部では消化機能の改善がその基盤にあると言われています。

「腸と肌がいかに深くつながっているかを学びました」と、ウェルネスクリエイターのアライシア・ヒックス氏は言います。彼女は消化と肌の変化に気づいてから、白湯をルーティンに加えました。
 

実践のポイント

白湯ブームの魅力は、シンプルさだけでなく、特別なサプリメントや道具が不要で、誰でもすぐに始められる点にあります。

白湯の適温の目安は、体温より少し高いくらい(約37℃)です。

「理想的には、水は温かく優しい熱さで、吹きかけたり冷ましたりする必要がなく、心地よく飲める温度が良いです。飲み下すときに優しく感じられるもので、熱すぎたり刺激が強すぎたりするものは避けましょう」とスード氏は言います。

アイスコーヒーや抹茶をよく飲む人は、1日1回の冷たい飲み物を白湯やハーブティーに置き換えるところから始めると良いでしょう。習慣を取り入れる際は、体がどのように反応するかに注意してください。

「温かい水が心地よく、消化が良くなるなら続けましょう。逆に熱く感じる場合は、ぬるま湯に切り替えて違いを観察してください」とスード氏はアドバイスします。

お茶を飲むことも、体に合わせたサポートの方法の一つです。消化を温めたり、心を落ち着かせたり、時々の膨満感や緊張を和らげたりします。

「中医学では、白湯が最も中立的で手軽な消化サポートの方法です。一方、お茶はそれぞれ独自の性質を持っています」とスード氏は言います。

例えば、生姜茶は消化を温めて支え、ペパーミントティーは冷やして停滞を流します。どちらも役立ちますが、状況と体質によって使い分けます。

「お茶が白湯より優れているとか劣っているという話ではなく、役割が違うだけです。白湯は1日を通じて安定したサポートを提供し、お茶は体の必要に応じて、より意図的に使えます」と彼女は言います。

体は一人ひとり違うので、自分に合うものを見つけることが大切ですと、彼女は強調します。

「同じ症状でも根本原因が全く違う場合があります。一人に合うものが、別の人には不均衡を生む可能性もあります」とスード氏は言います。

水が熱すぎると、特に内熱の兆候(口の渇き、イライラ、胃酸逆流など)がある人には刺激になることがあります。そのような場合は、熱すぎる白湯も冷たい飲み物と同じくらい体に負担をかける可能性があります。

また、万人向けの処方ではありません。強い内熱があり、頻繁に喉が渇く、イライラする、熱症状が出やすい人は、熱い白湯が逆効果になる場合があり、ぬるま湯の方が合っていることが多いです。

新しい習慣を始める際は、「1週間続けてみて、体が良くなったか悪くなったか」を自分に問いかけてください。体がガイドしてくれます。

(翻訳編集 日比野真吾)