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腰と膝をやさしく温める 冬の養生食「かぼちゃのいとこ煮」

大雪が過ぎると寒さはいっそう厳しくなります。中医学では、寒は五行で「水」に属し、腎と深く関わると考えられています。そのため、冬の冷えは腎を傷つきやすくし、とくに下半身から侵入すると、まず腰や膝に影響が出やすくなります。腰が冷える、膝がこわばる、関節が動かしにくい 、そうした不調は、やがて全身へと広がっていきます。

冬の養生は、衣服で寒さを防ぐだけでは十分ではありません。日々の食事の中で、体の内側に「温かさ」を少しずつ蓄えていくことが大切です。

そのため、日本の家庭では寒さが本格化する季節になると、かぼちゃと小豆を合わせた「かぼちゃのいとこ煮(かぼちゃの小豆煮)」を作る習慣があります。これは腰や膝を温め、関節の巡りをよくするとされ、数百年にわたり民間で受け継がれてきた、冬の伝統的な養生食のひとつです。
 

かぼちゃと小豆 腰と膝を温める

中医学では「腰は腎の府、膝は筋の集まるところ」と考えられています。冬は寒の気が強まり、五行では「水」に属する季節で、腎に負担がかかりやすくなります。この時期に寒や湿が体内、とくに下半身に入り込むと、腎のある下焦(おへそより下の体の部分)が冷え、腰や膝が冷たく感じられたり、関節が重だるく動かしにくくなったり、痛みが出たりしやすくなります。

かぼちゃは味が甘く、性質は温。実がしっかりとしており、中医学では「補中益気(脾を養い、気を補う)」食材とされます。脾胃が養われることで、気血を生み出す力が高まり、その気血が腰や膝までしっかりと届くようになります。かぼちゃの特長は、温めながらも熱すぎず、補いながらも滞らせない点にあります。寒い冬に、脾と腎という体の土台をやさしく支えるのに適した食材です。

かぼちゃの特長は、温めながらも熱すぎず、補いながらも滞らせない(Shutterstock)

一方、小豆は『神農本草経』にも記載される伝統的な食材で、甘酸っぱい味が特徴です。甘味と酸味の組み合わせは、中医学では「血を養う」働きがあるとされます。色は赤で、五行では「火」に属し、心と関わります。心は血脈を司る臓であるため、小豆が血を養い、巡りを助けると考えられてきました。

さらに小豆には、体内の余分な湿を除き、水の巡りを良くし、血の滞りを和らげる働きもあります。いわば、体の排水と血液循環の両方を少しずつ整えてくれる存在です。気血の流れがよくなることで、関節の腫れや重さ、動かしにくさも徐々に和らいでいきます。ただし、こうした変化は一朝一夕ではなく、日々の食養生を積み重ねてこそ得られるものです。

小豆は体内の余分な湿を除き、水の巡りを良くし、血の滞りを和らげる働きがある(Shutterstock)

冬の関節の不調は、単なる衰えだけでなく、湿が滞っていることが少なくありません。小豆は、正気(体を守り、回復させる基本の力)を損なうことなく、その滞りをゆっくりとほどいてくれる点が大きな魅力です。

かぼちゃと小豆を同じ鍋で煮ることで、「補う」と「巡らせる」が同時に叶います。温める力は腰や膝までしっかり届きながら、関節に重さを残さない——この二つは、冬に体を養うための、まさに理想的な組み合わせといえるでしょう。
 

適している方

寒い冬に、腰まわりが冷えやすい、朝起きたときに体がこわばる、または寒さに当たると関節が重く感じて動かしにくい――そのような方には、「いとこ煮」を日常の温養(体を内側から温め養う)として取り入れるのがおすすめです。
一方、体内に熱がこもりやすく、のぼせや乾燥感が強い場合は、量を控えるか、体調を見ながら一時的に控えるとよいでしょう。
 

レシピ:かぼちゃのいとこ煮

いとこ煮イメージ写真(Shutterstock)

材料

・かぼちゃ 300g
・小豆 50g
・水 適量
・(お好みで)細切りの生姜 少々

作り方

1.小豆は数時間浸水させ、鍋に入れて水を加え、弱火でほぼ火が通るまで煮ます。

2.角切りにしたかぼちゃを加え、さらに弱火でコトコトと煮ます。

3.かぼちゃがやわらかくなり、煮崩れせず、煮汁がややとろみを帯びたら出来上がりです。

4.冷えやすい方は、火を止める直前に少量の生姜を加えてください。

伝統的な作り方では、調味料は加えず、かぼちゃ本来の自然な甘みを生かします。味を少し整えたい場合は、甘みを引き立てる程度にごく少量の塩を加えてもよいですが、濃い味付けは避けましょう。