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カニと柿を同時に食べると危険? 秋の冷え対策

寒露を迎えると、天地の気は冷たくなり、皮膚の毛穴は閉じて、体内の陽気が内にこもり、体を温めて寒さに備えるようになります。この時期に冷たい、寒性の食べ物を多くとることは、自然の流れに逆らうことになります。

冷えが体の内部に入り込むと、脾胃の陽気が損なわれ、まるでかまどの火が弱まったように、食べ物をうまく「煮る」ことができなくなります。すると消化力が落ち、気血が生まれにくくなり、腹の張りや腹痛、下痢、手足の冷えといった症状を引き起こします。

養生の要は、脾胃を温かく保ち、寒涼の食べ物を慎むこと。とりわけ注意したいのは、カニと柿です。

カニは肥え、柿は甘し――寒湿は胃を傷つける

寒露を過ぎると、まさにカニの身が締まり、柿が蜜のように甘く香る季節を迎えます。

古人は「九月(西暦十月)はカニを食べ、十月(西暦十一月)は柿を食す」と言いました。どちらも秋の味覚の極みですが、いずれも性質は「寒」で、体を冷やす性質を持っています。しかも黄色い色は五行で「土」に属し、脾胃を司るため、冷えがそのまま脾胃に入りやすいのです。

カニは薬性が非常に冷たい食材(Shutterstock)

カニは薬性が非常に冷たく、肝と胃の経に入ります。その冷気は胃を傷め、食べすぎると腹痛や下痢を起こすことがあります。女性では肝血が冷えて生理痛を招くことも。さらに冷たい飲み物や生野菜と一緒に食べると、寒湿が重なり、脾胃や気血をいっそう損ねてしまいます。

柿の性質は寒性(Shutterstock)

一方、柿は甘く渋みがあり、性質は寒。肺を潤し津液を生むとされますが、気血の巡りを滞らせやすい一面もあります。

この二つを同時に食べると、「寒」と「渋」が重なって体内に寒湿が凝り、気血の流れが悪くなり、体を冷やしてしまうのです。

それでもこの二つの美味に惹かれるなら、寒性を和らげる工夫をして楽しむとよいでしょう。次に、そのバランスの良い食べ方をご紹介します。

 

寒性をやわらげる食べ方

【生姜と紫蘇で蒸しカニ】

新鮮なカニ2杯をよく洗い、身の上に細切りの生姜と紫蘇の葉をのせて、蒸し器で約10分ほど蒸します。

紫蘇は気の巡りを整え、生臭さや冷えを取り除くはたらきがあり、生姜は体の中心を温めて冷えを散らす作用があります。これにより、カニの寒性を中和できます。

たれは、醤油少々に米酢とおろし生姜を加えると、まろやかで香り高く仕上がります。さっぱりとした味が好みの方は、ポン酢に生姜汁を合わせてもよいでしょう。酸味と温かみが調和し、脾胃を守りつつ秋の香りを楽しめます。

【カニを食べた後の温かいお茶】

食後すぐに冷たいお茶を飲むのは避けましょう。おすすめはほうじ茶に薄切りのナツメを加えた一杯。香ばしくやさしい甘みがあり、消化を助けます。

カニを食べた後は、黒豆を軽く炒ってから数枚の生姜を加えて飲みましょう。(Shutterstock)

もし脾胃が冷えやすく、手足が冷たくなる方は、生姜黒豆茶に替えるのも良いでしょう。黒豆を軽く炒ってから数枚の生姜を加えて5分ほど煮ると、香ばしさと温かみが広がり、飲んだ後は体がぽかぽかと温まります。

【柿を温かく食べる方法】

柿は空腹時には避け、食後に少量いただくのが望ましいです。完熟した柿を軽く温めて蒸すか、薄切りの生姜を添えて食べると、冷えを防ぎます。

胃が弱い方は、干し柿に山楂(さんざし)と陳皮を加えて弱火で煮て、スープにするのがおすすめです。酸味と甘みが調和し、滞りをほどいて気の流れを整えてくれます。

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