一帯一路の落とし穴 インドネシア『フーシュ』高速鉄道が示す債務リスクと国家財政への影響
インドネシア政府は、総額73億ドル(約1兆2千億円)を投じた「フーシュ(Whoosh)」高速鉄道プロジェクトをめぐり、北京との間で緊急の債務交渉を行っている。この中国からの融資によって支えられた高速鉄道は、商業運行開始以来ずっと赤字が続いており、ジャカルタを「債務の泥沼」に陥れる可能性がある。
首都ジャカルタと人口第3の都市バンドンを結ぶこの鉄道は、中国共産党(中共)の習近平とインドネシア前大統領ジョコ・ウィドド氏の直接の関与によって、両国の国有企業が共同開発した「一帯一路」の旗艦プロジェクトである。資金の4分の3は中国からの融資によるもので、運行開始からわずか2年の運営で深刻な財政危機に陥っている。
赤字拡大 「時限爆弾」との指摘
英紙フィナンシャル・タイムズによれば、同高速鉄道の60%の株式を保有するインドネシア財団は、昨年だけで約4兆2千億ルピア(約386億4千万円)の損失を報告しており、2025年上半期にもさらに1兆6千億ルピア(約147億2千万円)の赤字を出したという。中国の国有企業は残る40%の株式を保有している。
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