【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

クコの実は目や体にいい? でも使い方には注意が必要です

夜更かしをしたり、スマホやパソコンを長時間見続けたりして目を酷使すると、体の「肝(かん)」や「腎(じん)」の働きが消耗されてしまいます。そうすると、翌日は目がかすんだり乾いたり、体がだるくなったりします。

そこで、クコの実をお茶にして飲むと、目の疲れや体のだるさに効果があるとされています。ただし、体質によっては逆効果になることもあるので、使い方には注意が必要です。

夜更かしは「目」と「体力」にダメージ大

中医学では、視覚の源である目に「血」がきちんと届いているから見えると考えます。肝は血を蓄える臓器で、腎は体のエネルギー(精)をためておくところ。この2つがしっかり働いていれば、目も元気になります。

しかし、夜は体を回復させる大事な時間。その時間に起きて活動していると、肝と腎が休めずに消耗しっぱなし。どんどん疲れがたまって、体力や集中力が落ちていきます。

目の不調を抱える女性(Shutterstock)

肝の血が不足すると、目が乾いたりかすんだりして疲れやすくなります。腎のエネルギーが足りないと、肝もサポートできなくなり、目の不調がさらにひどくなることもあります。

ひどくなると、目が熱っぽくなったり赤くなったり、風に当たって涙が出るようになったりすることもあります。これは中医学で「肝火(かんか)」と呼ばれる状態です。

つまり、目が疲れて元気が出ないときは、夜更かしや目の使いすぎで肝と腎が消耗してしまった結果なのです。
 

クコの実は良い食材、だが体質に合わない人もいます

クコの実は昔から「肝と腎を補って、目にいい」とされてきました。視力が落ちたときや、目が乾きやすい人、夜になると見えづらくなる「夜盲症」などにも使われてきました。

ただし、クコの実は体を温める性質があるので、体に湿気がたまりやすい人には合わないこともあります。

たとえば、胃腸が弱くてお腹が張りやすい人や、ニキビができやすい人は、クコの実をたくさん摂ると体の中に湿気や熱がこもってしまい、余計に不調になることもあります。そのような人は特に注意が必要です。

秋分(9月下旬)から2か月くらいは、「風」「熱」「湿気」の3つのエネルギーが体に影響しやすい時期です。

この時期は、「風」が肝に入りやすく、肝の熱が高まり、「熱」が心に入りやすく、て眠れなくなり、「湿気」が胃腸にたまって消化力が落ちる、といったことが起こりやすくなります。

この時期にクコの実だけをたくさん摂って目をケアしようとしても、あまり効果がないばかりか、胃腸に負担をかけてしまう可能性もあります。

一番よい方法は、自分の体質や季節に合った食材とクコの実を組み合わせることです。そうすれば、クコの実が体に栄養を与えつつ、余分な湿気や熱も取り除いてくれます。
 

体質別に選べる「クコの実のお茶」3選

乾燥したクコの実にお湯を注ぐだけで簡単薬膳茶に(Shutterstock)

①クコと菊花のお茶:夜更かしで目が疲れている人に

「最近目が乾いて痛い…」「つい夜ふかししてしまう」という方には、クコ+菊花の組み合わせがおすすめです。

菊花は少し体を冷ます性質があり、目のほてりや疲れをやわらげてくれる働きがあります。クコの実が目をやさしく潤し、菊花が目にこもった熱をやさしく冷ましてくれる、相性のいい組み合わせです。

作り方:
クコの実:10粒
菊花:3〜5輪

熱湯を注いで5分ほど蒸らす
お好みで少し蜂蜜を加えてもOK

目安:1日1〜2回、1週間ほど続けると、目の乾きや痛みがやわらぐのが感じられます。
 

②クコとハトムギのお茶:体が重だるい・むくみが気になる人に

「体が重くてだるい」「むくみやすい」「食欲がない」という人は、体に湿気(余分な水分)がたまりやすい体質かもしれません。そのような時は、クコ+ハトムギの組み合わせがぴったりです。

ハトムギは、体にたまった湿気を外に出す働きがあり、胃腸も助けてくれます。クコと一緒に飲むことで、目や体に必要な栄養を補いながら、重だるさも解消できます。

作り方:

クコの実:10粒
ハトムギ:10g

水500mlを沸かして、弱火で10分煮出す
お好みで少しナツメを加えると、リラックス効果もあります。

目安:朝と夜に1杯ずつ。続けることで、目の疲れやむくみ、だるさがやわらぎます。

③クコとケツメイシ(決明子)のお茶:目が赤くて熱っぽい、便秘気味な人に

「目が充血して熱っぽい」「口が渇く」「便秘気味」という人は、体の中に余分な熱がたまっている(火気が強い)状態かもしれません。そんなときには、クコ+ケツメイシのお茶がおすすめです。

ケツメイシには、肝の熱を冷まし、目をスッキリさせる働きがあるだけでなく、お通じを良くする作用もあります。さらに、菊花を加えると、火照りを冷ましながら肝の栄養補給もできて一石二鳥です。

作り方:
クコの実:10粒
ケツメイシ:3〜5g
菊花:3輪(お好みで)

熱湯を注ぐか、弱火で5〜10分煮出す

目安:毎日飲んでOK。目の赤みや熱っぽさ、便秘などに効果があり、気分もスッキリします。
 

飲むだけでは足りない!生活習慣も大事です

クコの実のお茶は体に良いものですが、夜更かしをしたり、目を酷使し続けていると、思ったほど良い効果は得られません。健康のためには、まずしっかり眠ることが大切です。特に夜11時までに寝るようにすると、肝と腎のエネルギーが蓄えられ、血液も養われます。

また、スマホやパソコンを長時間使い続けないことも大事です。1時間に1回は、目を閉じて休んだり、遠くを見たり、まばたきを意識的にすることで、目の疲れをやわらげることができます。さらに、軽い運動をすることで血流が良くなり、目にも十分な栄養が届きやすくなります。運動は体だけでなく、目の健康にもとても役立ちます。
 
 (翻訳編集 華山律)

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。