牛肉と玉ねぎ炒め:胃の張りや胃酸の逆流を和らげる
生ものや冷たいものの食べすぎで、胃を冷やす
暑い時期になると、多くの人が冷たい飲み物や生ものを多く取り、ひとときの涼を求めがちです。ところが、冷たいものが直接脾胃(消化器)を傷つけ、脾胃の陽気(本来は食べ物を温めて消化する力)を弱めてしまいます。その結果、消化の火力が消えてしまい、さらに湿気が体内にたまります。
その状態が長く続くと、脾胃が冷えて弱り、寒さによって気血の流れが滞ります。流れが悪くなると痛みが生じ、胃の張りや痛みを感じるようになるのです。
肝と脾のバランスが崩れると、胃酸が過剰に
五行で見ると、肝は木、脾胃は土に属し、木と土は互いに抑え合う関係にあります。ところが、脾胃が冷えて弱まると、肝の気が過剰になり、脾胃の働きをさらに抑えつけてしまいます。その結果、気の流れが滞り、胃の張りや痛みがより強く出やすくなります。
さらに、肝の性質は酸に通じるため、肝気が盛んになると胃酸の分泌も過剰になりがちです。
つまり、よく見られる「胃の張り」や「胃酸の逆流」は、根本的には「脾胃の冷え」と「肝脾の失調」が重なって起こっているのです。
牛肉の驚くべき消化力
牛は反芻動物で、硬い草を何度も噛み砕き、細かくしてからエネルギーへと変えることができます。この強力な消化力が、人々が牛肉の効能を直感的に理解する手がかりとなってきました。牛肉を食べることで、その力を借り、弱った脾胃に再びエネルギーを取り戻すことができるのです。
牛肉は温性であり、脾胃を健やかにし、中気(体の中心のエネルギー)を補う働きがあります。とくに脾胃が冷えて弱り、食欲がわかない、体力が不足している人に適しています。牛肉の温めて補う力が、冷えた胃に火力を与え、滞りを解消し、胃のさまざまな不調を和らげてくれるのです。
玉ねぎと生姜:気の巡りを助け、冷えを散らす
牛肉に玉ねぎを合わせると、気の巡りを良くし、体の冷えを取り除き、血液の流れを促すことで、気滞による胃の張りや痛みを和らげてくれます。
さらに数枚の生姜を加えれば、臭みを抑えるだけでなく、胃腸を温めて冷えを取り除き、消化吸収の働きを呼び覚ましてくれます。
牛肉・玉ねぎ・生姜の三つが合わさることで、その力はより強まり、胃の不快感や疲れた体をしっかりと立て直すサポートとなります。
牛肉と玉ねぎの炒め物
材料(2人分)
- 牛肉 …… 200g(薄切り)
- 玉ねぎ …… 1個(薄切り)
- 生姜 …… 2片
- 清酒または料理酒 …… 大さじ1
- 醤油 …… 大さじ1
- 塩 …… 少々
- 胡椒 …… 少々
- ごま油 …… 小さじ1
作り方
- 牛肉に清酒、塩、胡椒を加えて10分ほど下味をつける。
- フライパンに油を熱し、生姜を炒めて香りを出す。
- 牛肉を入れて強火でさっと炒め、色が変わる程度で玉ねぎを加える。
- 玉ねぎが少し透き通るまで強火で炒める。
- 醤油で味をととのえ、仕上げにごま油を回しかけて完成。