人間と同じように、猫も認知症を発症することがあり、記憶力が衰えて自分が誰かを忘れてしまうことすらあります。この点については、多くの愛猫家が知らないかもしれません。これに関して、ある専門家が猫の認知症を示す8つの兆候を紹介しました。飼い主にとって参考になるでしょう。
イギリス・ブリストル大学の動物行動・福祉学の上級講師エミリー・ブラックウェル氏と、ポスドク研究員サラ・ローレンス=ミルズ氏は、「The Conversation」サイトで最近の研究結果について述べました。この研究では、ネコ科動物と人間の認知症には多くの共通点があることが明らかになっています。
2人の研究者によると、高齢の猫が認知症を発症するのは珍しくありません。ある研究では、15歳になるまでに半数以上の猫に認知症の兆候が見られると報告されています。また、一部の認知症に関連する行動は7歳の猫にも現れることがあるといいます。
猫の認知症には、人間と似た症状もあります。こうした兆候を知っておくことは非常に重要で、それによって認知症の猫に適切なケアを提供できるのです。

あなたの猫が認知症を患っている可能性がある8つの兆候
異常な鳴き声:猫が過剰に鳴くようになったり、新しい状況で鳴くようになることがあります。よくある例としては、夜間に大声で鳴くことです。
ふれあい方の変化:猫が以前より頻繁に注意を求めたり、甘えん坊になることがあります。逆に、交流が減り、イライラしやすくなったり、なじみの人を認識しなくなる場合もあります。
睡眠パターンの変化:猫の睡眠習慣が変わることがあります。たとえば、夜に落ち着きがなくなり、昼間により多く眠るようになることがあります。
トイレの失敗:排泄習慣の変化はさまざまな病気のサインである可能性もありますが、猫がトイレ以外の場所で排泄をするのは認知症の一般的な兆候の一つです。
方向感覚の喪失:認知症の人間と同様に、猫も混乱や思考の乱れを示すことがあります。たとえば、方向がわからなくなったり、壁をじっと見つめたり、物に挟まれたり、間違ったドアに行ったりすることがあります。
活動量の変化:認知症の猫は、通常よりも活動的になったり、逆に不活発になったりします。遊ぶ頻度が減ったり、探索への興味が薄れることがあります。また、毛づくろいなどのセルフケアにかける時間が減ることもあります。
不安の兆候:以前は平気だった状況(知っている人、場所、音など)に対して、不安を示すことがあります。不安を感じた猫は、ベッドの下やクローゼットの上などに頻繁に隠れるようになります。
学習能力の低下:認知症の猫は、かつてできていたことができなくなったり、新しいことを学ぶのが難しくなります。たとえば、エサ皿の場所が分からなくなることがあります。

あなたの愛猫への配慮
研究者によると、猫の認知症の症状は関節炎や腎疾患など他の一般的な病気と重複することが多いため、こうした行動の変化が見られた場合は、他の病気を除外するためにも必ず獣医師に相談するべきです。
猫の認知症に関する研究はまだ少なく、予防や治療に関する多くの知見は人間や犬の研究から得られています。他の動物と同様に、猫の認知症には現時点で治療法はありませんが、症状を軽減する方法はいくつかあります。
たとえば、環境の変化は猫に刺激を与え、脳の活性化や神経成長を促す可能性があります。ただし、変更を加える前には認知症の進行度を考慮する必要があります。
健康な猫や軽度の認知障害を持つ猫には、遊びやインタラクティブなおもちゃで狩猟本能を刺激したり、かくれんぼなどの遊びで探索活動を促したりすることが、認知機能障害の進行を遅らせる助けになる可能性があります。
一方、重度の認知障害を持つ猫では、環境の変化が混乱や不安を引き起こし、症状を悪化させることもあります。
さらに、食事内容を見直し、抗酸化物質(ビタミンEやC)や必須脂肪酸を含むサプリメントを追加することも、この病気の進行を遅らせる効果があるかもしれません。ただし、サプリメントを試す場合は必ず猫用として認可されたものを使用してください。犬用サプリメントは猫に有害な成分(例:α-リポ酸)を含む可能性があるため、絶対に与えてはいけません。
2人の専門家は、猫の認知症は非常に一般的であり、かつ治療が難しい病気だと結論づけています。こうした症状に注意を払うことで、猫が早期に診断を受けられ、環境や食生活を見直すことができます。その結果、猫の生活の質を改善できるのです。
(翻訳編集 解問)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。