風熱が肺に影響するとき 貝とそばで熱を冷まし、心を落ち着け、眠りをサポート
季節の変わり目と体調の変化
夏の厳しい暑さが少しずつ落ち着いていく時期は、心身にもさまざまな影響を及ぼします。中医学では「暑さが収まる頃」とされ、本来は午後の太陽が沈んでいくように、暑さも和らいでいく時期を指します。
ところが今年は、地球のまわりで「風」と「火」のエネルギーが強くなり、心や肺に負担がかかりやすい状況です。肺は「金」に属し、体の熱(陽気)を下に降ろす役割を持っています。ところが肺の力が弱まると、熱を下げられず、火の勢いが頭や胸にこもってしまいます。そうなると心が落ち着かず、イライラして眠れなかったり、風邪っぽさ、頭痛、のどの痛みなどの症状が出やすくなります。
五行の考え方では「火は心に入り、風は肝に入る」とされます。肝は心を助ける関係にあるため、風が強まると火も勢いを増し、火が強まると肺(金)を傷つけてしまいます。肺を元気にするには、心と肝の「火」を落ち着かせると同時に、脾と肺の力を補うことが大切です。
食材で心を落ち着け、火をしずめる
風や熱の影響を整えるには、体の熱を下げて心を安定させる食材を選ぶとよいとされています。胸や頭にこもった火の気を体の下のほうに収めたり、肝に流して鎮めることで、自然に落ち着いてきます。
貝類は殻をしっかり閉じていることから「精を守る」性質があり、腎と関わりがあります。体を冷やす力があり、余分な熱を体の中に収めるので、心や肺の負担を減らします。
そば: 体を冷やす性質があり、肝に作用します。肝の熱を鎮め、心の火を落ち着かせるので、夜に心を静めて眠りやすくしてくれます。
長芋: 性質は穏やかで甘みがあり、脾・肺・腎を補います。胃腸を元気にして栄養の吸収を助けるとともに、肺を潤し、体を支える力を高めるので、熱を落ち着かせる作用をより安定させます。
貝: 「熱を収め」、そばで「熱を鎮め」、長芋で「体の基盤を補う」という組み合わせによって、不眠やのどの痛みを和らげ、体のバランスを整え、自然に熱やほてりをしずめることができます。
レシピ1:貝と味噌の安眠スープ
おすすめな方:夜の不眠、胸のざわつき、のどの乾き、軽い風邪(風熱タイプ)
材料:(2〜3人分)
- ハマグリやアサリ … 200g
- 味噌 … 大さじ2
- クコの実 … 10g
- 百合根(乾燥) … 15g(お好みで)
- 生姜 … 3枚
- 水 … 800ml
作り方
- 貝を薄い塩水に1時間ほど浸け、砂抜きをする。
- 鍋に水を沸かし、生姜を入れてから貝を加え、殻が少し開くまで煮る。
- 火を止め、味噌を溶き入れ、クコの実と百合根を加えて1〜2分蒸らす。
- 温かいうちに器に盛り、就寝前に小碗一杯いただく。
効能:体の余分な熱を収め、心火を鎮め、不眠や胸のざわつき、のどの乾燥を和らげる。さらに肺を潤し、乾燥から守る作用もある。
レシピ2:長芋とろろの冷やしそば
おすすめな方:肝の熱が強いとき、イライラ、不眠、のどの痛み、軽い乾いた咳
材料:(2〜3人分)
- そば(乾麺) … 160g
- 長芋 … 80g
- 海苔(細切り) … 少々
- かつお出汁 … 80ml
- ネギ … 少々
- おろし生姜 … 少々
- 塩・醤油 … 適量
作り方
- 長芋は皮をむき、おろし金でとろろにする。
- そばを茹で、冷水でしめて水気を切る。
- とろろをそばにかけ、かつお出汁を少し加えて混ぜる。
- 海苔、ネギ、おろし生姜をのせ、味を見て塩や醤油で整える。
- 冷やしてさっぱりといただく。
効能:肝と心の熱を鎮め、肺を潤して体を落ち着ける。不眠やイライラの改善に役立つ。長芋が胃腸と肺を補い、心を静める作用をより安定させる。
まとめ
この2つを組み合わせると、「温かいスープ」と「冷たいそば」でバランスが取れ、体にこもった熱を収めながら肝火を鎮め、眠りを助けてくれます。日本の食習慣にも合っていて、作り方も簡単、味もさっぱりとして続けやすいレシピです。
(翻訳編集 華山律)