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どうすれば運動を続けられる? 英研究が発見した意外な方法

多くの人が、運動が心と体の健康に良いとわかっていながらも、怠け心などさまざまな理由から続けられないことがあります。では、運動へのやる気を高める簡単な方法はあるのでしょうか? それに対する答えを、イギリスの研究が示しました。

アメリカの心理学者で、ウェイクフォレスト大学の兼任教授でもあるエド・エルゲンジンガー氏は、「Psychology Today」ウェブサイトの記事の中で、運動不足が世界中の成人の3分の1に影響を与えており、うつや不安といったメンタルヘルスの問題にも関係していると述べています。

研究によると、身体活動を増やすことで精神的な健康を改善できることは明らかですが、長期的な効果は、人々のやる気のなさによって損なわれてしまうことが多いのです。

そんな中、イギリスのバース大学の研究チームは、歩数トラッカーとスマートフォンアプリを使ったマインドフルネス訓練を組み合わせることで、運動への意欲を大幅に高められることを発見しました。

研究の筆頭著者である同大学の心理学者マーシャ・レムスカー氏は、「私たちの研究結果は、たとえ短期間のマインドフルネス訓練であっても、歩数トラッカーと組み合わせることで、人々がもっと運動したいと感じるようになり、長期的なメリットにつながる可能性があることを示しています」と語っています。

また、「特に、今のように多くの人が日常的に体を動かすのが難しい時代においては、人々が行動を起こすための内側からの動機付けをつくることはとても重要です。」とも述べています。

この研究では、運動量が推奨基準に達していないイギリスの成人109人を対象に試験が行われました。参加者全員が30日間、毎日歩数トラッカーをつけて8,000歩歩くように指示されました。そのうち半数は、スマホアプリを使ったマインドフルネス訓練にも取り組み、身体の感覚や動き、運動に意識を向ける短いエクササイズを実施しました。

スマホアプリのイメージ図(Shutterstock)

1か月後、どちらのグループも活動量が増加しましたが、マインドフルネス訓練を受けたグループは週あたり約373分の中強度の運動が増えたのに対し、訓練を受けていないグループは297分の増加にとどまりました。

マインドフルネスアプリを使った人たちは、「運動を続けたい」という意欲が明らかに高まったとも答えており、これは少しずつ長期的な変化が始まっている可能性を示唆しています。ただし、この研究では長期的な経過観察までは行っていません。

レムスカー氏は、「『意図』は将来の行動を予測するうえで非常に強力な要素です。歩数トラッカーにマインドフルネスの要素を組み合わせることで、人々が心理的に前向きになり、将来の行動変容の土台を築く助けになるようです」と述べています。

また、共著者で同大学健康学部の上級講師マックス・ウェスタン氏は、「マインドフルネス訓練を身体活動促進の戦略と組み合わせたのは今回が初めてであり、とても興味深い試みです」と語っています。

「ここには大きな可能性があります。私たちは、こうしたツールをより魅力的で効果的なものに改良していきたいと考えています。特に、さまざまなニーズのバランスを取ろうとしている人々にとって有益なものに」とも述べています。

研究チームは現在、マインドフルネス訓練をさらに魅力的かつ効果的にする方法を模索中です。今後の研究では、今回見られたモチベーション向上の効果が、時間の経過とともに実際の行動にどうつながっていくのかを詳しく検証する予定です。

この研究成果は『Mental Health and Physical Activity』誌に掲載されました。

(翻訳編集 里見雨禾)

陳俊村