夏の暑さ対策 経絡を整えて体質を調えるのがカギ
夏になると、つい冷たい飲み物や食べ物、エアコンなどで涼を求めがちですが、それがかえって体に悪影響を及ぼすことがあります。特に脾胃(ひい)は、気血を作り出す源であり、体の中心的な働きを担っています。そこに冷えや湿気が入り込むと、体の「陽気」が損なわれ、ちょうどエアコンが故障したような状態になります。
このような状態になると、栄養の吸収がうまくいかず、体温調整も正常にできなくなり、かえって暑さに弱くなったり、頭がぼんやりして重だるくなったり、ひどい場合は熱中症を引き起こすこともあります。
つまり、涼を求めれば求めるほど体が弱り、悪循環に陥ってしまうのです。
本当に大切な体調管理とは、経絡(けいらく:気と血の流れるルート)に沿って気血の流れを良くし、内臓の働きを温めて活性化させることです。そうすることで、体が自ら機能し始め、自然に体温調節ができるようになります。ちょうど、電力が十分にあればエアコンが正常に動き、涼しい空気を作り出すようなイメージです。
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秋冬は湿気と乾燥が重なり、脾胃と肺が弱りやすく便秘が増える季節。セロリは気の巡りを促し、エリンギは腸を潤し、牛肉は胃腸を温める食材。三つを組み合わせることで、気血が整い、自然な排便リズムが戻ります。
シソは胃腸を整え、体を温め、風邪や寒さから身を守る力を高めます。特に朝に食べると、体の陽気が自然に立ち上がり、秋冬の風邪予防に効果的。朝食に取り入れたい伝統の養生法です。
中医学の養生は、体を自然界のように調和させる「気候調整」の学問。五行の働きが乱れると病が生じ、整えば健康が戻る。季節と連動した「人体の気候」を理解することで、日々の食と生活に新たな視点が生まれます。