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研究:マインドフルネス療法は難治性うつ病を著しく改善

新たな臨床試験により、通常の治療では十分な効果が得られず、うつ症状に苦しむ患者に対して、マインドフルネス療法が顕著な改善効果をもたらすことが明らかになりました。

研究では、遠隔で行われるマインドフルネス療法がうつ症状の軽減に有効であることが示され、心理療法による対応が難しいとされていた何十万人もの患者に新たな希望をもたらす可能性があるとされています。
 

薬物療法に匹敵する定量的な効果

この研究では、マインドフルネス認知療法(MBCT)が、瞑想の実践と認知行動療法(CBT)の原理を組み合わせた精神的な治療法であり、従来の治療法と比較して、うつ症状の大幅な改善につながることが報告されました。

マインドフルネス認知療法は、瞑想やマインドフルネスの実践(たとえば自己への思いやりなど)と認知行動療法を組み合わせ、個人がネガティブな思考パターンを変えるのに役立ちます。

この臨床試験には、イギリス国内の200名以上の患者が参加しました。彼らは過去に対話療法や抗うつ薬による治療を受けていたにもかかわらず、依然としてうつ症状を抱えていました。

参加者は2つのグループに分けられました。介入群は通常の治療に加えてマインドフルネス認知療法を受け、この療法ではマインドフルネスのスキル習得とネガティブな感情の管理に焦点が置かれました。もう一方のグループは、抗うつ薬や対話療法などの通常の治療を継続しました。

6か月後、マインドフルネス認知療法を受けたグループは、通常治療のみのグループと比べて、うつ症状のスコアが大幅に改善されました。

マインドフルネス認知療法と通常治療の両方を受けたグループでは、「患者健康質問票-9(PHQ-9)」という広く使われているうつ病スクリーニングツールにおいて、平均で約2.5ポイントのスコア改善が見られました。

ニューヨークにある「コンプリヘンド・ザ・マインド(Comprehend the Mind)」の代表であり、神経心理学者のサナム・ハフィーズ(Sanam Hafeez)博士は、エポックタイムズの取材に対し、「マインドフルネス認知療法は本当に非常に効果的です」と述べ、特に地理的制約や時間的都合、または精神的健康の問題により対面での治療が難しい人々にとって、有効な選択肢であると説明しました。なお、ハフィーズ博士はこの研究には関与していません。

彼女は次のように語っています。「自宅で治療を受けることで、かえって心を開きやすくなる人もいます。治療の構成が適切で、グループ参加者が積極的であれば、その効果は対面治療と同等になる可能性があります」
 

マインドフルネス認知療法が持続性うつ病に効果的な理由

公認精神看護師であり、「ラーソン・メンタルヘルス(Larson Mental Health)」の創設者であるエリック・ラーソン(Erik Larson)氏は、エポックタイムズの取材に対し、マインドフルネス認知療法は特に再発性または持続性のうつ病患者に対して効果が高く、特に通常の治療を受けても症状が残るケースに有効だと語っています。なお、ラーソン氏自身はこの研究には関与していません。

マインドフルネス認知療法は、もともとうつ病の再発予防を目的に開発された療法であり、ネガティブな思考や感情に対して、それらを排除しようとするのではなく、別の視点から向き合うための手法です。

マインドフルネス認知療法は、同じ考えを繰り返す「反すう思考」や過剰なストレスを抱える人に特に適しているとされますが、専門家たちは、感情の安定と継続的な実践が求められるため、急性期の危機状態にある人や精神病的な症状を持つ人には適していないと警告しています。

この研究の共著者であり、サセックス大学(University of Sussex)のクララ・ストラウス教授(Clara Strauss)は、「マインドフルネス認知療法は、ネガティブで自己批判的な思考が「事実」ではなく、単なる「思考」であることに気づく助けとなり、それによって思考がもたらす感情的な影響を和らげます。また、自分自身の困難な経験を受け入れ、自分に対して思いやりを持つことを促す効果もあります」と述べています。

ハフィーズ博士は、マインドフルネス認知療法が他の治療法と併用可能である点も強調しています。

「多くの人がすでに薬を服用している中で、マインドフルネス認知療法は追加のサポートを提供する手段となります。これは認知行動療法などの治療に取って代わるものではなく、補完的な支援を提供するものです。中には、時間が経つにつれて薬への依存を減らす助けになると感じる人もいます」と語りました。

難治性うつ病は、重度うつ病性障害と診断された患者のおよそ30%に影響を与えています。

患者アドバイザーであり、この研究の共著者でもあるメアリー・ライアン氏(Mary Ryan)は、研究の初期段階からチームと連携しており、今回の発見が、すでにあらゆる治療法を試し尽くした患者にとってどれほど重要であるかを強調しました。

彼女は、「人々はしばしば、心理療法の『終着点』に達したように感じてしまい、他に選択肢はないと言われてしまいます」と述べた上で、次のように続けました。

「今回の試験結果は非常に意義深いものです。なぜなら、私たちはそのような人たちに対して、『あなたたちはまだ大切な存在であり、他にも試すべき方法があって、それが役立つ可能性がある』というメッセージを届けるものだからです」

がん、感染症、神経変性疾患などのトピックを取り上げ、健康と医学の分野をレポート。また、男性の骨粗鬆症のリスクに関する記事で、2020年に米国整形外科医学会が主催するMedia Orthopedic Reporting Excellenceアワードで受賞。