春の肝気を整えるためには、梅干しや発酵食品が有効です。消化を助け、体内のエネルギー循環を整えます(Shutterstock)
水が導く和の養生

食文化の違いから学ぶ、日本食に隠された五行との調和

日本は「水の料理」、中国は「火の料理」とよく言われます。この何気ない言葉の中に、東洋の五行による養生の知恵が隠されています。陰陽五行の思想は古くから東洋人の食生活に溶け込み、自然に日常に根付いています。

日本は水の料理、中国は火の料理――ここに表れているのは、東洋伝統医学の養生観であり、陰陽五行の思想です。水と火は五行の二つのエネルギーであり、当然、形のある水と火にも発展します。

では、なぜ日本料理が水、中国料理が火なのでしょうか。それは地域の位置の違いによるものです。日本は東方のさらなる東に位置し、五行では「木」に属します。つまり、東は木のエネルギーが支配する場所です。人体の五臓にも五行の属性があり、肝は木に対応します。

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シソは胃腸を整え、体を温め、風邪や寒さから身を守る力を高めます。特に朝に食べると、体の陽気が自然に立ち上がり、秋冬の風邪予防に効果的。朝食に取り入れたい伝統の養生法です。
中医学の養生は、体を自然界のように調和させる「気候調整」の学問。五行の働きが乱れると病が生じ、整えば健康が戻る。季節と連動した「人体の気候」を理解することで、日々の食と生活に新たな視点が生まれます。