どんな食品でも冷蔵庫に長く置きすぎると傷み、食べた後に体調を崩すことがありますが、中でも特に食中毒のリスクが高いものがあります。専門家は、冷蔵庫の中で特に注意すべき食品について指摘しています。
『ハフィントン・ポスト』によると、オンライン医療サービス「Treated.com」の臨床責任者であるダニエル・アトキンソン氏は、「すべての食品には食中毒のリスクがある」と述べています。冷蔵庫に長期間保存された食品、消費期限を過ぎたもの、また適切に再加熱されていない残り物などは、有害な細菌が繁殖する可能性があると警告しています。
特に注意が必要なのは、保存方法に気をつけなければならない食品です。アメリカ国家衛生基金(National Sanitation Foundation)のシニアマネージャーであるマット・テイラー氏は、細菌が繁殖しやすい高タンパク食品、例えば肉、魚、牛乳、チーズ、卵などは、食中毒を引き起こしやすいと指摘しています。
アメリカ国家衛生基金は、食品の安全基準や衛生基準の策定・認証を行う非営利団体で、本部はミシガン州にあります。
また、他の専門家によると、メキシコ産のソフトチーズ、燻製魚、低温殺菌されていない牛乳などの高タンパク食品も、細菌が繁殖しやすいため注意が必要だとされています。
コネチカット大学で食品微生物学と安全性を研究する准教授デニス・ダミコ氏は、さらに警戒すべき食品として、「調理済みの食肉加工品」や「即食用の鶏肉」を挙げています。これには、カウンターでスライスされたハムやサラミなどが含まれます。
ダミコ氏によると、新鮮な農産物も細菌汚染のリスクがあり、特にキノコ、パック詰めの葉物野菜、もやしは注意が必要です。彼は、「ほとんどの新鮮な農産物は、家庭で専用のブラシを使って洗うことが推奨されており、そのブラシ自体も清潔に保ち、定期的に消毒することが重要だ」と指摘しています。

また、アトキンソン氏は「炊いたご飯」も細菌が繁殖しやすい食品のひとつだと警告しています。「生米にはバチルス・セレウス(Bacillus cereus)という細菌の胞子が含まれている可能性があり、炊いた後も適切に管理しないと食中毒の原因となる可能性があります」と述べています。
特に危険なのは、ご飯を長時間常温に放置することです。「炊いたご飯は冷めたらすぐに冷蔵庫に入れ、24時間以内に食べるのが理想です。ご飯が傷んでいても、カビや異臭などの目に見える変化が現れないこともあります」とアトキンソン氏は注意を促しています。
さらに、外食で持ち帰ったご飯にも気をつけるべきだと指摘しています。テイクアウトの料理には添加物やスパイスが含まれているため、傷んでいても気づきにくく、調理前にどれだけの時間保存されていたかも分からないため、注意が必要だと警告しています。
食品の劣化は見た目や匂いだけでは判断できない
専門家によると、食品が傷んでいるかどうかは、見た目や匂い、味だけでは完全に判断できない場合があり、食中毒のリスクがあることもあります。
登録栄養士のトレーシー・ヤブロン・ブレンナー氏は、「味に問題なければ安全」という考えは危険だと警告しています。
彼女は、「実際のところ、サルモネラ菌(Salmonella)やリステリア菌(Listeria)など、多くの有害細菌は食品の匂いや味、見た目に影響を与えません。傷んだ食品は異臭がすることもありますが、細菌が気づかないうちに大量に増殖していることもあります」と指摘しています。

食品由来の病気や人身被害を専門とする弁護士ジェイソン・リース氏も、冷蔵保存が必ずしも安全を保証するわけではないと述べています。
リース氏は、「冷蔵庫の低温環境が細菌の増殖を完全に防ぐと考えている人は多いですが、これは大きな誤解のひとつです。冷蔵することで細菌の増殖を遅らせることはできますが、完全に取り除くことはできません。特にリステリア菌のような危険な病原体には注意が必要です」と警告しています。
それでも、冷蔵庫の温度を適切に保つことは非常に重要です。温度が高すぎると、病原体の繁殖を促してしまうためです。
食品微生物学の専門家であるデニス・ダミコ氏は、「冷蔵庫の温度は摂氏2〜4度が理想的ですが、調査によると、多くの家庭では平均7度近くになっており、明らかに高すぎます」と指摘しています。
非営利団体「ストップ・フードボーン・イルネス(Stop Foodborne Illness)」の代表ミッツィ・バウム氏も、食後はできるだけ早く食物を冷蔵するよう呼びかけています。
彼女は、「細菌は常に増殖しており、肉類、卵、サラダ、カットフルーツ、煮込み料理などの傷みやすい食品は、たった2時間で危険なレベルに達することもあります」と述べています。
さらに、食品のリコール(回収)情報を軽視しないよう注意を促しています。「もしリコールのニュースを聞いたら、そのままにせず、すぐに家から処分するべきです」とバウム氏は強調しています。
(翻訳 華山律)
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