かつてヴィーガンの必需品だった栄養酵母は、今や主流となり、ほとんどの食料品店の棚に並んでいます。
食のトレンドは時と共に移り代わります(ジェロゼリーサラダなど)。しかし、植物由来や全体的な食材バランスを重視するトレンドはここ数年でますます広がっています。栄養酵母への関心は、この動きにうまく調和しています。
製造方法
栄養酵母(ヌーチ)は、調味料やサプリメントに使われる不活性化酵母です。パンを作ったりビールを醸造したりするのに使われるのと同じ種類の酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)を使用していますが、製造方法は非常に異なります。
栄養酵母は、モラセス(糖蜜)のようなグルコースが豊富な培地で育てられます。発酵が完了すると、酵母は洗浄され、殺菌され、熱で乾燥されます。この過程で酵母細胞は不活性化(死滅)し、グルタミン酸をはじめとするアミノ酸が放出されます。グルタミン酸は、栄養酵母に特有の旨味を与える成分です。
栄養酵母は、ゴールデンフレーク、顆粒、または粉末として購入でき、さまざまなレシピに加えたり、ポップコーンのような食べ物に振りかけて、旨味のある「チーズ風」の風味を楽しむことができます。その人気は、栄養価の高さと魅力的な風味の両方に起因しています。
栄養の宝庫
栄養酵母は、強化されているものとされていないものの2種類があります。強化されていない栄養酵母は、酵母細胞が成長する過程で自然に含まれる栄養素のみを含んでいますが、強化された栄養酵母には、特にビタミンB群など、かなりの量の栄養素が加えられています。
アメリカ合衆国農務省(USDA)によると、栄養酵母・レッドスターの1.5テーブルスプーン(16グラム)には、1日の推奨摂取量(DV)の16%の食物繊維、4%の鉄分、9%のカリウムが含まれています。また、その量には、免疫力を高める強力な抗酸化物質である亜鉛の1日の推奨摂取量の20%も含まれています。
ヌーチ(栄養酵母)には、ビタミンB6、チアミン、葉酸、ナイアシン、リボフラビンなど、いくつかのビタミンB群の1日の推奨摂取量(DV)を満たすか、それを上回る量が含まれています。特に注目すべきは、ビタミンB12の1日の推奨摂取量の130%が含まれている点です。ビタミンB12は主に動物製品に含まれています。
トップニュートリションコーチングの登録栄養士コートニー・ペリテラ氏は、ザ・エポックタイムズに対して、ヴィーガンにとって栄養酵母はビタミンB12の数少ない摂取源である」と述べています。
1回16グラムの摂取には、8グラムのタンパク質も含まれています。ペリテラ氏は、「完全なタンパク質であるためには、すべての必須アミノ酸9種類を含んでいる必要があります。アミノ酸は合計20種類ありますが、そのうち11種類は体内で合成できます。残りの9種類のアミノ酸は食事から摂取しなければなりません。幸いなことに、栄養酵母はこれら9種類すべての必須アミノ酸を含んでいます」と説明しています。これにより、栄養酵母はヴィーガンやベジタリアンの食事にとって、貴重な食材となる可能性があります。
その他の健康効果
酵母の一種 サッカロミセス・セレヴィジエの研究によると、栄養酵母は他にも健康効果を提供する可能性があることが示唆されています。栄養酵母には、オート麦や大麦にも含まれているベータグルカンという種類の食物繊維が含まれています。
オート麦由来のベータグルカンは、コレステロールを低下させる効果があることが示されています。酵母由来のベータグルカンに関する研究は限られていますが、同様の効果がある可能性は十分に考えられます。
高いコレステロール値を抱えた15人の肥満男性を対象にした8週間の研究では、15グラムの酵母由来の食物繊維を補給することで、総血漿コレステロール値が「有意に低下した」と報告されています。動物実験でもこの結論を支持する結果が得られています。
リスクはあるか?
栄養酵母は栄養が豊富ですが、場合によっては慎重に摂取した方が良い人もいるかもしれません。
ペリテラ氏は、「栄養酵母を避けた方が好ましいのは、酵母製品に敏感な人々、例えば過敏性腸症候群(IBS)やクローン病の人です。心配であれば、個別に担当の医師と相談するべきです」と述べています。
そして栄養が豊富で簡単に食事に取り入れられる食品を探しているヴィーガンやベジタリアンにとって、栄養酵母は素晴らしい製品だと評価しています。
(翻訳編集 山本 拓)
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