魚介類は多くの人にとって親しみ深い食材で、味の良さだけでなく、栄養が豊富な点でも注目されています。
では、一番栄養価が高い魚は何なのでしょうか? 台湾可苡栄養コンサルティングセンターの黄苡菱(ファン・イーリン)栄養士、は、大紀元の番組「健康1+1」で、魚に含まれる汚染物質を避ける方法や、健康に役立つ魚について説明しました。
小さい天然魚は栄養たっぷり、安全性も高い
2023年3月に科学誌Nature Foodに発表された研究によると、養殖サーモンの餌に使われる6種類の天然魚が、養殖サーモンそのものよりも栄養価が高いことがわかりました。この6種類の魚は、ペルーアンチョビや太平洋アンチョビ、ヨーロッパイワシ、アトランティックニシン、大西洋サバ、ブルーホワイティングです。
研究によると、これら小型の天然魚は、養殖サーモンに比べてカルシウムが5倍、ヨウ素が4倍多く含まれています。さらに、鉄分やオメガ3、ビタミンB12、ビタミンAも1.5倍以上多いのです。一方で、ビタミンDはほぼ同じ含有量ですが、養殖サーモンにはセレンや亜鉛が多く含まれており、これは餌の影響が考えられます。
黄氏は、魚の栄養価だけでなく、栄養価の違いに加え、環境汚染による重金属や毒素が食物連鎖の中で蓄積されると指摘しました。大きな魚ほど体内に重金属をためやすいため、サケやマグロ、カジキなどの中型から大型の魚よりも、サバやイワシ、ニシンのような手のひらサイズの小型魚を食べることを勧めています。また、幅広い栄養を摂取するためにさまざまな種類の魚をバランスよく食べることも重要だとしています。
大型魚を控えるべき人たち
黄氏は、妊婦や子供は大型魚を控えるべきだと勧めています。魚の皮と脂身に脂肪や油分が多く、そこに重金属が蓄積されやすいので、どうしても食べる場合は、脂肪が多い部分や皮を避け、赤身の部分だけを食べるようにと述べました。
米食品医薬品局(FDA)によると、一部の大型肉食魚は高濃度のメチル水銀を蓄積しており、胎児や幼児の神経発達に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、妊婦や出産適齢期の女性、1~6歳の子供は、サメやメカジキ、キングマカジキ、タイルフィッシュを避けるべきだとされています。水銀含有量の低い魚であれば、1週間に最大12オンス(約340グラム)まで食べても問題ありませんが、アルバコアマグロ(「ライトツナ」より水銀が多い)は週に6オンス(約170グラム)に抑えることを推奨しています。
研究によると、胎児や幼児はメチル水銀の影響を受けやすく、妊娠中に水銀濃度の高い魚を多く摂取した母親から生まれた子供は、注意力や記憶力、発話能力(言葉の発達)に問題を抱える可能性が高まるとされています。
缶詰魚の便利さ カルシウム補給と血圧管理に役立つ
新鮮な魚や冷凍魚だけでなく、缶詰魚も優れた選択肢です。黄氏によると、缶詰加工では魚のたんぱく質やミネラル、油分などの栄養素がしっかり保持されます。また、缶詰の魚の骨は柔らかくなっているため、そのまま食べることでカルシウムをたっぷり摂取できるといいます。
ある総合研究では、缶詰のサバを長期間食べることで、本態性高血圧(様々な要因が重なり、具体的な原因が特定できない高血圧)の軽度患者の収縮期血圧や拡張期血圧が大きく改善されたという結果が示唆されています。塩分が控えめな缶詰であれば、血圧への悪影響はほとんどありません。缶詰の魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、血圧を調整し、血中脂質を低下させるのに非常に役立つそうです。新鮮な魚が手に入りにくい地域に住む人にとって、缶詰魚は良い代替品といえるでしょう。
ただし、一部の缶詰製品には味付けのための添加物が含まれています。購入するときはラベルを確認し、添加物が少なく塩分控えめの商品を選ぶことが推奨されています。
魚で摂れる9つの栄養素
黄氏は、魚から摂れる私たちの体に必要な9つの栄養素を紹介しました。
- ヨウ素
ヨウ素は、体内で甲状腺ホルモンを作るのに欠かせない成分です。甲状腺ホルモンは、タンパク質を作ったり酵素を働かせたりと、体内で多くの重要な生化学反応を調整しています。妊婦がヨウ素不足になると、胎児の神経発達が遅れたり、成長が止まったり、さらに流産になってしまう可能性もあります。子供においては、ヨウ素不足は成長や発達に悪影響が出たり、IQが平均より低くなる場合があります。
- カルシウム
カルシウムは、骨や歯を作る大切な成分で、体を正常に動かすために欠かせません。筋肉の動き、血液の固まりやすさ(血液凝固)、神経の信号伝達、ホルモンの分泌など、体のさまざまな働きに影響を与えます。カルシウムが足りないと、骨が弱くなり、骨粗しょう症になってしまい、転倒や骨折のリスクが高くなります。
- 鉄
鉄は、血液の中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」の主な成分です。また、体内で一部のホルモンを作るのにも必要です。鉄が足りないと貧血になり、胃腸の不快感や体のだるさを感じたり、疲れやすくなったり、エネルギーが出なくなったり、集中力が落ちたりすることがあります。
- ビタミンA
ビタミンAは、目の健康、生殖、成長、発達、および免疫システムの正常な機能を維持するのに役立ちます。ビタミンAが足りないと、ドライアイや呼吸器の病気、はしか、下痢などのリスクが高まります。
- ビタミンB12
ビタミンB12は、血液や神経を健康に保ち、DNAを作るのを助けます。ビタミン B12 が不足すると、疲労、衰弱、皮膚の蒼白、動悸、食欲不振、体重減少、不妊などの症状を伴う巨赤芽球性貧血を引き起こす可能性があります。
- ビタミンD
ビタミンDは、腸からのカルシウム吸収を助け、骨が薄くなったり、もろくなったり、変形したりするのを防ぎます。また、炎症を抑えたり、免疫力を調整したり、細胞の成長を助けたりもします。
- オメガ3脂肪酸
オメガ3は細胞膜を作る重要な脂肪酸です。これが不足すると、肌が荒れたり炎症を起こすことがあります。研究によると、オメガ3が心筋梗塞や動脈硬化など心臓の病気のリスクを下げる可能性があるとされています。
- 亜鉛
亜鉛は免疫機能、タンパク質と DNA の合成、傷の治癒、細胞シグナル伝達の維持に必要です。足りないと、肌や骨、消化器、神経など、体のあちこちに問題が出ることがあります。
- セレン
セレン(土壌や水、特定の食品に含まれる必須微量ミネラル)は、生殖機能や甲状腺の健康を守り、DNA生成に有益で、体を酸化ストレスから守る働きがあります。不足すると、がんや心臓病、甲状腺の病気、認知症などのリスクが上がる可能性があります。
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