偉大なる放棄、御手に全てを委ねます

致命的な診断を超えて 母親の愛と信念が赤ちゃんを守る

ディセン・ウィルコックスさんは困難な道を選び、逆境に直面しても強くいられる理由、すなわちへの信仰を分かち合っています。

彼女は29歳の在宅学習をサポートしている母親で、現在妊娠第3期(本稿執筆時点で妊娠32週目)です。34歳の夫、ダリン・ウィルコックスさんとの間に生まれる三人目の男の子は「チャーリー」と名付けられました。生まれてくる息子に、医師から致命的な診断が下されましたが、マディセンさんとダリンさんは、妊娠中絶を決断する代わりに、この診断によって、家族の人生を新しい目で見るようになったそうです。

「3人目に比べて、今の私の2人の子供たちは、とても完璧で健康なので、まるで歩く奇跡のように見える子供たちです」と彼女は語っています。

「信仰こそが、この過程全体を乗り越えるために私が頼ることができた唯一の支えでした」とマディセンさんは話します。この経験が、子供たちに神と神の愛に満ちた慈悲について、教えるうえで大いに役立ったそうです。

 

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夫婦は、この経験が子供たちに「人生の最も偉大な教訓と価値観」を教えるのに役立ったと語る(マディセン・ウィルコックス提供)

 

ウィルコックス夫妻は、6歳のハヴィンちゃんと3歳のハーヴェイ君に、信仰を通じてどのように困難に耐えられるかを示し、模範として家族を導いています。

「振り返ってみると、私たちの人生における神の御手と、家族にとって最善の決断を下すために、神がどのように導いてくださったかが、はっきりとわかります。神は私たちを強くし、私たちを変えるために、試練を与えてくださったのだと信じています。私は、神がこの三人目を天使として私に託してくださったのだと信じています。チャーリーを身ごもったことは、数え切れないほど多くの面で、私を祝福してくれたのです」と。
 

診断 

2月のこと、ウィルコックス夫妻はもうすぐ男の子が生まれると知り、大喜びしました。しかし、妊娠第1期が始まって6週間ほど経った頃、マディセンさんに合併症が出始めました。

超音波検査の結果、小さな絨毛膜下血腫(血管が破裂してできた血の塊)と診断され、2週間の骨盤安静が必要となりました。血腫はすぐに消え、すべてが順調に思えました。

しかし、妊娠第2期に入ってから再び出血があり、赤ちゃんの脳が正しく発達していないことが判明しました。さらに、超音波検査技師も赤ちゃんの鼻骨の位置を特定するのに苦労していたそうです。

母親の子宮の中にいる赤ちゃんチャーリーの超音波スキャン。(<a href=
母親の胎内にいる赤ちゃんチャーリーの超音波スキャン(マディセン・ウィルコックス提供)

 

18週目の母体胎児医学検査の際、超音波検査技師が異常なほど長い間黙っていたため、マディセンさんに最悪の恐怖が現れました。

永遠に続くような沈黙の後、夫のダリンさんは、ついに技師に状況を尋ねました。技師の口から出た言葉は忘れられません。技師が言ったのは、「心配しています」という言葉だけでした。

マディセンさんの心臓は高鳴り、胃に沈むような感覚を覚えました。医師が部屋に入ってきて、不安そうな夫妻に診断を下すまで、そう時間はかかりません。それは、赤ちゃんの脳が左右に分裂しない先天性疾患でした。

また、夫妻は、赤ちゃんチャーリーに、複数の心臓欠陥があることも知りました。アロバールHPEと診断され、医師はそれが致命的だと告げました。「それを聞いた瞬間、私の魂が体から離れたように感じました」そして、このような診断を受けた患者のほとんどは、手術を選択するのだと言うと、私たちだけの時間を与えるために、医師は部屋を出ていきましたとマディセンさんは振り返ります。

妊娠中の母親は、胎児の診断によって「妊娠と人生が本当に素晴らしいものであることを改めて認識するようになった」と語る。(<a href=
妊娠中の母親は、胎児の診断によって「妊娠と人生が本当に素晴らしいものであることを改めて認識するようになった」と語る(マディセン・ウィルコックス提供)

 

傷心のマディセンさんは吐きそうになり、流しに駆け寄りましたが、そこにたどり着く前に足がすくんでしまいました。彼女は嗚咽を漏らしながら「子供たちにどう言えばいいの?」とつぶやきました。

「私の世界全体が崩れ落ちていくようで、息が詰まりそうでした。赤ちゃんが助からないと宣告されたばかりだったのです」

私たちはダウン症(身体的発達の遅れ、特徴的な顔つき、軽度から中度の知的障害など)の可能性を疑っていましたが、命に係わる診断になるとは思っていなかったのです。

 

祈りに満ちた決断 

この致命的な診断を受け、マディセンさんは自分の強い生命保護に対する考えを再考せざるを得ませんでした。中絶に反対する立場は変わりませんでしたが、何が「道徳的に正しいこと」なのか分からなくなってしまいました。

「一度決断を迫られると、それまで考えていたこと、信じていたことをすべて見直さなければなりませんでした。赤ちゃんがいつ、どのように亡くなるかを選ばなければならないというのは、難しくて不可能な決断でした。チャーリーの妊娠を継続するという決断は、とても祈りに満ちたものでした。私たち家族にとって最善の決断ができるよう毎晩祈り、神様に導きをお願いしました」

熟慮の末、夫妻は当初、医学的な理由から中絶を決断しました。早期の陣痛誘発がチャーリーを苦しみから救い、生まれてから息を引き取るのを待つよりも「人道的に」チャーリーを逝かせることができると考えたのです。また、その方が家族に新たなトラウマを残さないと考えました。

「今振り返ると、その考えは間違っていました。彼を身ごもったことは、私たち家族にとって最高の出来事でした」と。

マディセンさんは、チャーリーを出産まで育てるという決断が、2人の子どもたちに神の慈悲について教えるのに役立ったと語る。(<a href=
マディセンさんは、チャーリーを無事に出産するという決断が、2人の子どもたちに神の慈悲について教えるのに役立ったと語る(マディセン・ウィルコックス提供)

 

マディセンさんは、中絶を決意した当初、いくつもの障害に直面したと振り返ります。家族計画連盟は何週間も予約でいっぱいで、マディセンさんは妊娠26週目まで、予約を取ることができませんでした。また、保険が適用されないことも分かりました。

「これらの障害に直面した後、私たちには中絶のための他の選択肢もあることを思い出し、これが神様が私たちに与えた答えだと感じました。神様は、私たちが、チャーリーを身ごもるべきであり、妊娠を終わらせることが私たち家族にとって正しい決断ではないと教えてくださったのです。私たちは、この地上での時間は永遠の中のほんの一瞬なのですから」

今日、マディセンさんは、自分が選択した人生を肯定する自信を持ち続けています。

 

未知に立ち向かうために信仰で武装する 

チャーリーの出産予定日は10月で、その準備期間は未知のことだらけでした。「彼があとどれくらい生きられるか、本当に見当がつきません。私たちは基本的に、あらゆる結果を想定して準備をしなければなりません」とマディセンさんは語ります。結婚9年目を迎え、夫との関係は、試練を共有することでより親密になっていると言うのです。

夫婦は、この経験が夫婦としての絆を強め、結婚生活を「さまざまな意味で」祝福してくれたと語る。(<a href=
夫婦は、この経験が夫婦としての絆を強め、結婚生活を「さまざまな意味で」祝福してくれたと語る(マディセン・ウィルコックス提供)

 

マディセンさんは、もし診断後の悲劇的な数日間に自分自身に語りかけることができるとしたら、「今この瞬間にとどまり、信仰に頼ることを思い出すだろう」と話します。

彼女はまた、家族、友人、そして彼女のTikTokアカウント@mamafitmadzのフォロワーのサポートにも感謝しているそうです。この勇敢な母親は、自分に愛と思いやりを示し、試練を通して祈ってくれた人々に感謝したいと願っています。「この旅を通じて、私に優しさ、愛、思いやりを示してくれた人々のことを決して忘れません」と彼女は述べました。

この数ヶ月が信じられないほど困難だったことは否定できませんが、家族は強さと信仰に頼り続けています。結局のところ、夫妻は試練を神の御手に委ねることに平安を見出したのです。

「今振り返ってみると、チャーリーがいつ、どのように天国に召されるかは、私が決めることではなく、神が決めることなのです。それを知って、私はとても平安を感じています」と彼女は言いました。「彼はいつまでも私たちの息子であり、3人目の赤ちゃんであり、2人の子供たちはいつまでも、弟が自分たちを見守ってくれていることを知るでしょう」と。

 

(翻訳編集 呉安誠)

中西部出身の作家。エポックタイムズのほか、Human Defense Initiativeでも執筆。