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16歳で博士号 ペンタゴンと協力する天才少年

ウィマーさんは1歳半でiPadを使い始め、5歳でプログラミングに取り組みました。10歳のときには、ホットウィール(玩具の自動車)ブランドとモデルを識別するAIプログラムを設計しました。その後、ご両親はペンタゴン(米国防総省)から、専門的な協力を依頼する電話を受けたそうです。

ノースカロライナ州ソールズベリー出身のマイク・ウィマーさんは、常に同年代を超えた天才的な知能を示し、AIや先端技術分野で革新を続けてきました。

今年5月、運転免許を取得したばかりのウィマーさんは、カロライナ大学を卒業し、わずか16歳でアメリカ最年少の博士号取得者となりました。

5月3日、16歳のマイク・ウィマーさんがカロライナ大学を卒業し、アメリカ最年少の博士号取得者となりました。(写真提供:メリッサ・ウィマーさん)

卒業式では、学位ガウンに身を包んだウィマーさんが壇上に立ち、同級生に自身の選んだ専門分野で革新を起こし、前進するよう激励しました。

成長の物語やインスピレーションについて語る中で、ウィマーさんはアメリカの奴隷制度廃止論者・哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンの言葉を引用しました。「他人の足跡をたどって進んではいけません。自分の道を切り開きなさい」と述べました。

「歴史を変えた革新者たちを想像してください」とウィマーさんは話しました。「ライト兄弟は物理法則に疑問を持って嘲笑され、スティーブ・ジョブズは全ての家庭にパソコンを置くと言って揶揄され、イーロン・マスクは火星を目指して笑われました」

「しかし、イノベーションの目的は批判する人々を黙らせることではなく、彼らに新しい可能性を示すことなのです」と付け加えました。

ウィマーさんは演壇を降り、黒い布で覆われた物体の前に進み、その布を外して自ら設計・制作したリモート操作の水中航行ロボットを披露しました。

卒業式のスピーチで「リーフスイーパー」のベールを明かしたマイク・ウィマーさん(写真提供:メリッサ・ウィマーさん)

ウィマーさんによると、「リーフスイーパー」と名づけたこのAIマシンは、大西洋でサンゴ礁を荒らす外来種のライオンフィッシュ(ミノカサゴ)を駆除するのに役立つそうです。ライオンフィッシュはサンゴ礁の生態系を脅かし続けていますが、ダイバーが届かない深海に生息し、漁網や罠では捕まえにくいといいます。しかし、リーフスイーパーはそうした深海の水圧にも耐え、AI技術によって遠隔でライオンフィッシュを駆除できます。

さらにウィマーさんは、「これは単なる技術的な突破口だけでなく、サンゴ礁や沿岸コミュニティを守るためのビジネスプラットフォームでもあり、水中技術の新時代を切り開くものです」と語りました。

卒業式の前、ウィマーさんは本紙のインタビューに応じ、ビジョンをさらに詳しく説明しました。「1台だけでは十分ではありませんので、何千台ものこうしたマシンを製造したいと考えています。それが私の次のステップです」と話しました。

この起業計画には経済的な価値があり、まずライオンフィッシュの身は美味で、毒はアルツハイマー病や癌の研究に使用されているそうです。また、ライオンフィッシュの皮はカウボーイブーツやアクセサリーにも使えるといいます。

「まだ開発されていない利益もたくさんあります。だからこそ、これは本当にチャンスなのです」と話しました。

幼少期も現在も受賞経験のあるマイク・ウィマーさん(写真提供:メリッサ・ウィマーさん)

ウィマーさんの最新の水中分野での起業プロジェクトは、彼がこれまで展開してきたロボット工学やAI関連のプロジェクトの一つです。彼は10歳のときから会社を起業しており、「Next Era Innovations(新世代イノベーションズ)」もその一つです。

ウィマーさんはホットウィールを識別するAIシステムを設計した経験があり、それを軍が必要としたそうです。「それ以来、アメリカ特殊作戦軍と契約するようになりました」と語りました。

「このAIシステムの特徴は、全ての車が赤で、私も赤いシャツを着て、システムを混乱させようとした点です」とウィマーさんは説明します。このAIは形だけでフェラーリとフォードを区別できました。プロジェクトの動画がインターネットで拡散し、ある指揮官がそれを見てご両親に電話をかけてきたそうです。

「最初、両親は『彼はまだ10歳ですよ?』と答えましたが、その指揮官は『それは分かっています。でも、彼には私たちが必要とする専門知識があります』と言ったのです」。そして「2週間後にはフロリダ州タンパのマクディル空軍基地に行きました」とウィマーさんは話しました。

新しいプロジェクトが稼働した後も、アメリカ特殊作戦軍との協力は続けていくそうです。軍向けの仕事内容については秘密保持のため明かせないとしています。

アメリカ最年少の博士を目指した動機について問われると、「常に学びたいという欲求」と「物事がどのように、なぜ動くのかを知りたいという思い」だと話しました。

ウィマーさんは1歳半で初めてiPadに触れ、好奇心を持っていました。幼稚園からプログラミングを学び始め、少しずつ多くのプログラミング言語を身につけていきました。

「私はイノベーションが好きで、新しい技術でさまざまな課題を解決したいと思っています」とウィマーさんは述べ、「より遠くへ、より速く、より良く進みたい」と常に自分を励ましてきたそうです。そして「自分の取り組みが世界に良い影響をもたらせたら」とも語りました。

マイク・ウィマーさんはレーシングゲームが大好きです。(写真提供:メリッサ・ウィマーさん)

知識への欲求は、学業での優れた成果につながりました。14歳でコンピューターサイエンスの学士号、15歳でデータサイエンスの修士号と経営学修士号を取得しました。忙しい今年も、水中ロボットのプロジェクトを論文と共に提出し、博士号を取得しました。

ウィマーさんはMENSA(高IQ団体)の会員でもあります。

16歳という若さで多くのことを成し遂げたウィマーさんですが、少年らしさはどんな時に見せるのでしょうか。

実は、ウィマーさんは「スーパーカー好き」でもあります。リラックスするために、自宅でレーシングシミュレーターを使い、友人とオンラインレースを楽しんでいます。シミュレーターはクラッチやアクセル、ハンドル、シフトレバーまで備えていて、プロのレーサーのようにコーナリングでドリフトもできるそうです。

ウィマーさんは自分の車も持っています。努力のご褒美に、自分自身のためにスポーツカーを購入したといいます。

「2023年製の70周年記念モデルのコルベットです。1年限定、パールホワイトです」と話し、新しい免許を取得してからは、運転できる機会に車を走らせているそうです。

(翻訳編集 里見雨禾)

カナダのカルガリーに拠点を置くライター兼編集者。主に文化、人間の興味、トレンドのニュースについて執筆。