最近の研究で、男性の耳鳴りと体脂肪、特に胴体部分の脂肪との関連が明らかになり、従来の耳鳴りのリスク要因に対する見解が見直されています。

耳鳴りは、存在しない音が聞こえる一般的な症状で、世界人口の約15％が影響を受けています。

耳鳴りと体組成

この研究は「Scientific Reports」に掲載され、韓国の第9回国民健康栄養調査に参加した2257人の身体的、耳科学的（耳の病気に関する科学）、および体組成データを分析しました。この調査は、健康を評価するための全国的な監視システムです。

年齢と平均聴力を調整した後、耳鳴り（急性および慢性の両方）を持つ男性参加者は、全体的な体脂肪率が高く、特に腕、胴体、脚の脂肪が多く、またウエスト周囲径も大きいことが明らかになりました。

慢性の耳鳴りを持つ男性は、胴体脂肪が特に多く、ウエスト周囲径が大きく、脚の筋肉量が少ないことが顕著でした。この関連性は、女性参加者には見られませんでした。

研究者たちは、世界保健機関（WHO）のガイドラインを使用して、男性では体脂肪率が25％、女性では35％を肥満と定義しました。この研究は、体組成が男性の耳鳴りと「有意に」関連しており、特に中心性肥満（脂肪が主に腹部に蓄積するタイプ）が慢性の耳鳴りと関連していると結論付けています。研究の著者たちは、中心性肥満リスクを評価することが、耳鳴りを持つ男性の心血管リスクの早期発見と軽減にもつながる可能性があると述べています。

追加の研究結果として、次の点が挙げられます：

耳鳴りは男性により多く見られ（約12％）、女性では約7％に見られました。

高血圧は耳鳴りを持つ人々により多く見られ（約37％）、耳鳴りのない人々では約29％でした。

耳鳴りを持つ人々の半数がめまいを経験しており、耳鳴りのない人々では3分の1程度でした。

糖尿病の発生率には、両グループ間で有意な差は見られませんでした。

耳鳴りを持つ人々は、うつ病や不安に関するテストで高いスコアを示しました。

これらの結果は、耳鳴りが、他のいくつかの健康およびライフスタイル要因、特に男性において関連していることを示唆しています。

耳鳴りの原因

耳鳴りを感じる人は、片耳または両耳でさまざまな強さの鈴の音やブーンという音、その他の音を聞くことがあります。

聖心女子大学のオーディオロジスト（Audiologist、聴覚やバランスの問題に関する専門的な診断や治療を行う医療専門職）で教授を務めるスザンヌ・フィンケル氏によると、原因はカフェインや塩分の過剰摂取から脳腫瘍に至るまでさまざまだと「エポックタイムズ」に語っています。

耳鳴りには次の3つのタイプがあります：

主観的耳鳴り：最も一般的で、影響を受けた本人にしか聞こえない音

客観的耳鳴り：稀で、耳の検査中に検出できる音

拍動性耳鳴り：心拍に一致するリズミカルな音を生じる

加齢や騒音による聴力の低下が主な原因ですが、その他にも耳の感染症、耳垢の蓄積、特定の薬物が原因となることがあります。

耳鳴りは多くの場合、完全に治療できない

「耳鳴りを経験している人は、まず医師に相談し、原因を特定して聴力検査を受けることを推奨します」とフィンケル氏は述べています。「耳鳴りは通常、完全に取り除くことはできませんが、効果的に管理することは可能です」と彼女は付け加えました。

オーディオロジストは、関連する聴力低下の治療や対処法の提供において、重要な役割を果たすとフィンケル氏は付け加えています。

フィンケル氏は、耳鳴りに対する薬理学的な治療法はなく、米国食品医薬品局（FDA）はビタミン補助剤を治療法として推奨していないと述べています。

しかし、症状を緩和するための効果的な方法として、次のようなものがあります：

サウンドセラピー：耳鳴りをマスキングする（耳内の耳鳴りの音に外部の音を被せる）ことで患者がリラックスし、眠りやすくする。

認知行動療法（CBT）：耳鳴りに関連する否定的な感情を再調整する。

進行性耳鳴り管理：退役軍人局が開発したプログラムで、サウンドセラピー、CBT、教育を組み合わせ、個別の管理プランを提供する。

（翻訳編集　華山律）