うつ病は、多くの要因によって引き起こされる複雑な精神障害の一つであり、そのため治療法も複雑です。しかし、研究によれば、うつ病患者の体内には特定の栄養素が不足している可能性があり、食事はうつ病の予防と症状の治療に重要な役割を果たすことが示唆されています。

地中海食がうつ病改善に寄与する

私たちの食べ物は、身体だけでなく心の健康にも影響を及ぼします。うつ病に関する研究の重要な側面の一つは、食事の品質とうつ病リスクの関連性に焦点を当てています。

ニューヨークのノースウェルヘルスセンターに所属するスタテンアイランド大学病院の精神医学および行動科学の部門長であるティモシー・サリバン博士は、多くの研究と総説が食事の品質とうつ病リスクの関連性を示しており、赤身の肉と精製された炭水化物が多く、野菜と食物繊維が不足した食事は、うつ病のリスクを増加させると述べています。

逆に、果物、野菜、全粒穀物、ナッツ、および豆が豊富な食事（つまり、地中海食）は、うつ病のリスクを低減できます。地中海食はうつ病の予防だけでなく、すでにうつ病にかかっている人の感情と健康を改善するのにも役立ちます。

サリバン博士は「同様の研究で、食事の変化がうつ病を著しく改善できることを示しています。気分が沈んでいる人々にとって、地中海食（または類似の食事）に従うことは、気分のうつ症状を軽減し、健康状態を改善するのに役立つでしょう」と大紀元時報に語っています。

多くの証拠がこの主張を支持しています。Molecular Psychiatry誌の一つの総説によれば、地中海食はうつ病の発症リスクを有効に低減することが示されています。研究の著者は、うつ病を予防するために食事干渉を採用し、評価に合理的な根拠を提供していると考えています。

さらに、5万人近い中年の女性を対象とした別の調査研究では、中年の女性が地中海食を長期間維持すると、後年にうつ病にかかる可能性が低くなると示されています。

ダッシュ食事がうつ病症状を軽減

地中海食事が唯一の効果的な食事法ではありません。おそらくDASH食事法（Dietary Approaches to Stop Hypertension）についても聞いたことがあるでしょう。これは高血圧を管理する食事法で、血圧を低下させる助けとなります。研究によれば、DASH食事法や他の健康的な食事パターンもうつ病の症状を軽減するのに役立つことが示されています。

DASH食事法は、ナトリウムの摂取を制限するだけでなく、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルを豊富に摂取することを強調しています。また、多くの野菜、果物、全粒穀物、魚、家禽肉、ナッツを食べることをおすすめし、砂糖入りの食品や糖分を多く含む飲料を避けるよう勧めています。

ますます多くの証拠が、高糖分や高脂肪食がうつ病のリスクを増加させる可能性があることを示しています。

研究者たちは、高糖分の摂取が「十分な証拠」で、代謝の不均衡、炎症反応、神経伝達の障害につながり、これらは感情と認知に影響を及ぼす可能性があることを発見しました。

さらに、高糖分摂取は、心の健康状態と関連する疾患を引き起こす可能性があり、全身性の炎症、腸内フローラの損傷、ドーパミン報酬作用の乱れ、インスリン抵抗性を含みます。

サリバン博士は、「興味深いことに、腸内フローラの変化は中枢神経系のセロトニン受容体に影響を与え、逆に脳内のセロトニン受容体の変化も腸内フローラに直接影響を与えることがあります」と述べています。

（つづく）