現在、新型コロナウイルスの後遺症(ロングコビッド)やワクチン傷害を治療する多くの医師が、断食(ファスティング)に全体的な症状改善の可能性があることを示唆しています。
新型コロナのパンデミック以前、断食は主に代謝性疾患の治療に用いられており、多くの医師が減量や糖尿病の管理のために推奨していました。
しかし、この健康回復に効果的なアプローチは、特定のニーズや疾患に関係なく利益をもたらしうるものです。
最近の研究では、断食が炎症の軽減と免疫力の向上、認知機能の強化、および潜在的ながんリスクの低下に寄与することが明らかになっています。
断食という古代の知恵
断食は、数千年の豊かな歴史を持つ古代の習慣です。英語では朝食のことを「ブレックファースト(breakfast)」と言いますが、これは一晩の断食を解くという意味です。
歴史を通じて、断食はさまざまな宗教や文化で広く見られました。たとえば、中国の仏教徒は伝統的に正午の食後から翌朝まで断食し、イスラム教徒はラマダンの間、夜明けから夕暮れまで断食を行います。
断食の医学的応用は、少なくとも紀元前5世紀にまで遡ります。「医学の父」と言われるヒポクラテスは、「病人に食べさせると、病気を養う事になる」という格言を残し、病気中に食事を摂らないよう推奨しました。
いわば「風邪を飢えさせる」というこの考え方の裏付けとなる具体的なエビデンスはありませんが、腎臓専門医で断食の専門家であるジェイソン・ファン博士は、断食が体に生来備わっている知恵を引き出し、ウイルスや有害な細菌から栄養を奪い、その撃退を助ける可能性があるとしています。
断食は免疫系をリセットできる?
断食には主に2つの形式があります。1つは少なくとも36時間は続ける長期断食です。もう1つは断続的断食で、12〜24時間の短い断食期間を含む、一般的なライフスタイルへの介入です。
細胞や組織のリセットと再生を活発にするという点で、どちらかと言えば長期断食は断続的断食よりも効果的です。
身体は1日に主に2つの状態を経験します。それは、摂食状態と摂食後の状態、すなわち絶食状態です。この2つの状態が、まるで陰陽のように、共存しながら相反する効果をもたらします。
一般的に、食物の摂取は炎症を引き起こし、断食は抗炎症反応を促進します。
私たちは孤立した存在ではありません。環境中のさまざまな病原体、細菌、真菌と相互作用しており、食事によって栄養素と病原菌の両方が体内に取り入れられ、免疫システムが活性化します。
毎食後、免疫系が病原体を排除することで一時的に炎症が起こることが、研究で分かっています。感染を防ぎ、体の防御機構をサポートするため、この炎症は有益です。
しかし、頻繁に間食をしたり、常に食事をとり続けることで、慢性的に炎症が引き起こされる可能性があり、身体へのストレスの増加、血圧の上昇、インスリン感受性の低下、細胞や組織の損傷、治癒障害などの悪影響を及ぼします。
慢性炎症が2型糖尿病、アルツハイマー病、がんなどと関連していることが多いのはこのためです。
反対に、断食は、断続的断食にせよ長期断食にせよ、炎症を抑制する遺伝子を活性化し、炎症性免疫細胞を減少させ、自己免疫を軽減する兆候を示します。
特に、Cell Stem Cell誌に掲載された研究では、3日間の断食期間が、古い免疫細胞を分解し新しい免疫細胞を再生することによって、免疫システムをリセットできることが判明しました。
断食はコロナ後遺症やワクチン障害に有効?
コロナ後遺症やワクチン障害に焦点を当てている著名な医療団体「Front Line COVID-19 Critical Care (FLCCC) Alliance」によると、コロナ後遺症やワクチン接種後の症状に対する一次治療として、断食が推奨されているといいます。
このような場合、断食の目的はオートファジーを刺激することです。オートファジーは、細胞成分やタンパク質を分解して再利用するプロセスのことで、新型コロナのスパイクタンパク質にも同様の働きをします。
スパイクタンパク質は、炎症、微小血栓、ミトコンドリアの機能不全、自己免疫、神経系の問題、その他の合併症を引き起こす可能性があります。FLCCCの医師らは、コロナ感染であれワクチン障害であれ、これらのスパイクタンパク質が患者の症状に大きく寄与していると考えています。
タンパク質の分解に特化した「シャペロン介在性オートファジー」は、通常は24時間の断食後に活性化します。 したがって、FLCCCは、可能である場合は72時間以上の長期断食を推奨しています。
コロナ後遺症とワクチン障害を治療する看護師のスコット・マーズランド氏によると、患者の72時間にわたる断食の後半に、脳霧の改善が見られることが多いといいます。
さらに、マーズランド氏は、断食がコロナ後遺症とワクチン障害の既知のすべての症状を軽減するのに役立つと述べています。
また、内科医のサイード・ハイダー博士は、長期断食中に症状が完全に回復した患者がいると述べています。
スパイクタンパク質の減少に関する決定的な試験は存在していませんが、マースランド氏は、特に長期断食において、断食のスケジュールをきちんと遵守した患者に、スパイクタンパク質に対する抗体レベルの低下が観察されたと述べました。
つまり、スパイクタンパク質などの外来侵入者を標的として攻撃する免疫タンパク質が減ったということであり、症状が軽減したということです。
800人以上の患者データを分析した内科医のジョーダン・ボーン博士は、患者の症状が改善するにつれて、スパイクタンパク質に対する抗体レベルが低下する傾向があると指摘しています。
しかし、マースランド氏によると、抗体検査は確実ではないといいます。
患者の体内にスパイクタンパク質の残存物が存在するにもかかわらず、陽性の抗体結果を示さない場合があるほか、免疫調節異常、免疫抑制、免疫不全などの要因により、抗体の産生が制限される場合があります。
さらに、スパイクタンパク質は脂肪の中に隠れ、探知されるのを避ける傾向があるため、肥満や過体重の人は、最初の抗体検査で陰性となる可能性があると、マースランド氏は付け加えました。
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