肥満は21種類の慢性疾患と強い相関がある 

脂肪の過剰摂取は、肥満の原因となり、がんの発症リスクを高めると言われています。 肥満は21種類の疾患と強く関連していることが研究により明らかにされています。

今年3月、イギリスのロンドン大学研究チームが国際学術誌『ランセット』に発表した研究によると、肥満は、心臓代謝系疾患、消化器系疾患、呼吸器系疾患、神経系疾患、筋骨格系疾患など21種類の疾患に強く関連していることが明らかになりました。

研究チームは、11万人以上を12年間にわたって追跡調査し、肥満、過体重、標準体重、低体重の4つのグループに分類しました。
学歴、喫煙、飲酒、身体活動などの交絡因子を調整した後、解析の結果、肥満群では正常体重群に比べて死亡リスクが30%高いことが判明しました。 さらに、肥満に強い関連性がある疾患を除いて、詳しく分析すると、肥満群は正常体重群に比べて、1種類の肥満関連疾患を患うリスクが2.83倍、2種類になると5.17倍、複合合併症を患うリスクは12.39倍に増加しました。

肥満と関連の深い21種類の疾患は、糖尿病、高血圧、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈、脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症、膵炎、肝臓疾患、細菌感染、痛風、変形性関節症、腰痛、ぜんそく、腎がん、皮膚感染症や湿疹、貧血、腎不全、睡眠障害などです。

また、北京大学付属がん病院の臨床研究によると、太り過ぎの胃がん患者は、手術時の合併症も一般人より多いことが分かっています。 同病院の胃腸腫瘍低侵襲外科では、腹腔鏡補助下遠位胃がん手術を受ける胃がん患者164人を2組に分けました。そのうち、肥満組と呼ばれる患者40人(BMI:25kg/㎡以上)、非肥満組と呼ばれる患者124人(BMI:25kg/㎡未満)に分け、腹腔鏡補助下遠位胃がん手術を実施しました。 両組の患者を手術、術後の回復、合併症の状況から比較しました。

その結果、肥満組では非肥満組に比べ手術時間、出血量が明らかに多く、術後合併症の発生率は肥満組20%、非肥満組12%となり、肥満は手術時間を延長させるだけでなく、術後合併症の発生率も高めることが示されました。

東京大学のジェイ・ウェン医学博士は、大紀元のインタビューで、一般的に胃がんは初期には無症状で、症状が現れても胃腸の病気と見られることがあり、がん細胞が増殖して広がり始めると、治療のベストタイミングを逃してしまい、進行した状態で診断されることが多いと述べています。

また、消化不良、腹部膨満感、吐き気やむかつき、胸焼け、食欲不振、全身のだるさ、赤痢、場合によっては体重減少など、体が不調の時は、原因を探ることが大切だと言いました。

博士は肥満への介入は重要かつ実現可能なアプローチであることを強調しました。 肥満の患者には週2回の筋力トレーニングをアドバイスしています。

「筋肉は基礎代謝量を増やすとともに、血管に糖分が入り込んで高血糖になるのを防ぎます。また、食事は特に糖質の摂取を控え、たんぱく質と野菜をバランスよくとり、炭水化物の食事を減らすとよいでしょう。さらに、6~8時間の睡眠を確保して体を十分に休めることが重要です。ストレスが多いと血圧も上昇するので、適度にストレスを発散しましょう」。
 

Ellen Wan
2007年から大紀元日本版に勤務しており、時事から健康分野まで幅広く携わっている。現在、記者として、新型コロナウイルスやコロナワクチン、コロナ後遺症、栄養学、慢性疾患、生活習慣病などを執筆。