室内の空気を整えたい 香りの拡散率だけでなく安全性にも考慮して(2)

(前回からの続き)

室内空気環境に影響を与える要因とは?

平均的な人は1日のほぼ9割を室内で過ごすため、室内の空気環境は重要です。空気の質を良くし、適切な香りの製品を組み合わせることで、生活に潤いを与えます。
室内の空気に影響を与える要因には、良い換気環境であること以外に何があるでしょうか。

人間が出す香りには、息や体臭、香水などがあります。また同時に、多くの人が集まるところでは自然に温度が上がります。

エアコンは無臭のはずですが、長い間使わず、掃除もしていないと、ダクトやフィルターからカビ臭が発生しやすくなります。

家庭にある調理器具やトイレの設備は、ニオイだけでなく、熱や湿度も発生させます。パソコンやプリンターなどの事務機器、特に機械の台数が多いオフィスでは臭いが気になります。

また幹線道路に隣接した近代的な住宅や建物に近接している立地の場合、外部からのニオイが部屋の中にも染み付いてしまうことがあります。

最近建設された建物や新しくリフォームされた空間に足を踏み入れると、「新築」のニオイがします。その要因は、 建築・内装材建築・内装の過程で使用する材料や施工方法によって、パネルや接着剤、塗料などのニオイが残ることにあります。これらの物質には、ホルムアルデヒドやベンゼンなどの揮発性有機化合物(VOC)が含まれていて、いずれも室内の空気の質を悪化させる原因であり、長年にわたって放出される可能性があります。

特に、合板や単板の張地や家具は、接着剤で固定して張り付けるため、手間やコストがかかるだけでなく、不快な臭いが残ります。

不十分な換気や建材からの臭気の拡散は、室内の空気環境を悪くし、吐き気、咳、眠気、記憶喪失、アレルギー反応など、シックハウス症候群と呼ばれる症状を引き起こす可能性があります。

空間の空気を悪化させる要因は様々なため、自分で検出することは困難な場合があります。その場合、検査をしてくれる専門業者に頼むとよいでしょう。また、自分でどうにかしたい場合は、光触媒やホルムアルデヒド除去剤、キトサンのような製品もあるため、試してみるのもよいでしょう。

 

建材はどのように選べばいいのですか?

建材や施工工程は空気環境の重要な要素であり、安心・安全な空間づくりのためには、自然素材や無害な素材選びが望まれます。

1.天然のもので無毒のパネルやホルムアルデヒドの含有量が少ないパネルを選びましょう。

2.水性塗料は、油性塗料に比べて毒性が低いため、予算が許せば、ラテックスやセメントなどの揮発性有機化合物が少ない水性塗料を選びましょう。

3.ウッドベニヤの使用を減らしましょう。ウッドベニヤは薄い木板を接着剤で何重にも貼り合わせたもので、強い ニオイを発するため使用を控えましょう。台湾では現在、F1から3までの等級制度があり、環境ラベルが貼られた建材の出所を参考にしています。

4.できるだけ屋外で作業をしましょう。
どうしても現場での作業が必要な場合は、常に空気の循環を保つよう心がけましょう。

5.新しく内装された空間では、換気を行い、ホルムアルデヒドやベンゼン、揮発性有機化合物の放出を一定期間待った後での入居が望ましいでしょう。

6.現場施工の時間短縮のため、組み立て式システムキャビネットの使用を検討すると良いでしょう。

(翻訳:香原咲)

陳冠鈞