バイデン米政権は来週、太平洋の戦略的に重要な島しょ国3カ国との協議を担当する特使をマーシャル諸島に派遣する。写真はバイデン大統領。6月3日撮影(2022年 ロイター/Tom Brenner)

米政権、マーシャル諸島に特使派遣へ 自由連合盟約を協議

[ワシントン 7日 ロイター] – バイデン米政権は来週、太平洋の戦略的に重要な島しょ国3カ国との協議を担当する特使をマーシャル諸島に派遣する。米国はこの地域で影響力を拡大しようとする中国への懸念を強めている。

バイデン氏が3月に任命した特使のジョセフ・ユン氏はロイターに対し、自身率いる代表団が14─16日にマーシャル諸島に滞在する予定だと明らかにした。

米国務省報道官によると、同氏は来年期限切れとなるマーシャル諸島への米国の経済支援を規定する自由連合盟約(COFA)について協議する。

米国はミクロネシア連邦、パラオとも同様の盟約を結んでおり、それぞれ2023年、24年に期限が切れる。これらの交渉も同氏が担当している。

盟約更新交渉はトランプ前米政権時代に始まったが、ユン氏の任命前に棚上げされていたため、米国が中国との影響力争いに敗れるとの懸念が高まっていた。

マーシャル諸島との間では、米国の過去の大規模な核実験に対する補償、米軍基地のプレゼンス、気候変動などが重要問題となっている。

米国は1946年から58年までマーシャル諸島で67回の核実験を行った。その結果、島民は現在も健康や環境への影響に悩まされている。

関連記事
アメリカ軍は、中国共産党が2027年までに台湾への攻撃能力を確立しようとしているとの見解を持ち、それに対抗するために台湾周辺での軍事配置を強化している。
米比同盟は新たな局面を迎えている。4月22日に開始された「バリカタン」軍事演習は、アメリカとフィリピンの関係が過去最高の状態にあることを示すものだ。中国共産党による南シナ海での挑発的な行動に直面し、フィリピンはアメリカとの協力を強化し、国防力を高めるチャンスを得ている。
アメリカ合衆国インド太平洋軍のジョン・アクイリーノ司令官は、中国共産党が「茹でガエル」戦術を用いてインド太平洋地域での緊張を徐々に高めていると指摘している。
8日、エマニュエル駐日米国大使と山上前駐オーストラリア日本大使が、日米同盟の重要性を力説した。エマニュエル大使は、「新型コロナウイルス感染症」「ロシアのウクライナ侵攻」「中国の威圧的行動」という「3つのC」が世界を変えたと指摘。日米両国がこの2年間で70年来の政策を大きく転換したことに言及し、「日米同盟は新時代を迎えている」と強調した。
ロシアのウクライナ侵攻が続く中、中国とロシアの関係は益々緊密化している。中国共産党がイランや北朝鮮のようにロシアに直接致死性兵器を提供しているという明白は証拠は今のところないものの、欧米は中国共産党による戦時経済支援に対する懸念を強めている。