大午グループ創業者の孫大午氏。(同社HP)

中国有名民間企業、十分の一以下の安値で強制競売 専門家「略奪行為だ」

中国河北省の民間企業・大午グループは15日、地元裁判所が主催した競売で低い金額で謎の企業に身売りされた。事情を知る人権派弁護士は「出来レースで、当局による民間企業に対するあからさまな強奪行為である」と非難した。

インターネットに投稿された判決文の写しによると、大午グループは15日午後、高碑店市法院(裁判所)が主催する競売で保定芮溪科技という企業に6億8610万元(約137億円)で落札された。

中国の人権問題を扱うサイト「維権網」などによると、大午グループの有形資産の簿価は51億元、無形資産と合わせると約100億元(約2000億円)になる。一方、裁判所の評価額は6億8600万元(約138億円)で、競売には実質同1社のみの参加で評価額で落札した。

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中国当局は、民間企業への取り締まりを強化している。昨年11月から当局に拘束されていた、著名な企業家で河北大午農牧集団(以下、大午グループ)の創業者である孫大午氏は21日、「騒動挑発罪」や「農地の不法占拠」など8つの容疑で公安当局に正式に逮捕された。
昨年11月から拘束されていた、著名な企業家で河北大午農牧集団(以下、大午グループ)の創業者である孫大午氏(スン・ダウー、67)に対し、中国河北省高碑店市の裁判所は28日、「騒動挑発罪」などで懲役18年と罰金311万元(約5300万円)を言い渡した。
習氏は「共同富裕」を目指すという目標を掲げ、富裕層への締め付けに乗り出した。また、三次分配について「高収入を合理的に調節し、違法収入を取り締まる」と発言している。中国当局の「共同富裕」政策に恐れをなした民間企業は、自発的に寄付する動きを見せている。
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