3月9日、ウクライナ国家特殊通信・情報保護局の副責任者、ビクトル・ゾラ氏は、ロイターに対し、ロシアの侵攻がさらに進んだ場合に政府のデータやサーバーを外国に移す必要が生じる事態に備え、緊急時対応の用意をしていると語った。写真はキエフで2017年7月撮影(2022年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

ウクライナ、重要データの国外移転計画を準備=担当高官

[9日 ロイター] – ウクライナ国家特殊通信・情報保護局の副責任者、ビクトル・ゾラ氏は9日、ロイターに対し、ロシアの侵攻がさらに進んだ場合に政府のデータやサーバーを外国に移す必要が生じる事態に備え、緊急時対応の用意をしていると語った。

ゾラ氏によると、基本はあくまでITインフラをウクライナ内で守ることで、別の国に移すのはあくまで第2、第3の手段。そうした手段はウクライナ議会が法規改正を承認して初めて可能になるとしている。

同国政府当局者は既に機器やバックアップデータを国内のより安全な地域に移動させつつある。ゾラ氏は先月、米政治サイトのポリティコに対し、首都キエフにある重要なデータが危険にさらされれば国外の別の場所に移す計画があると語っていた。

ゾラ氏は今回、さまざまな国からデータ受け入れの申し出が来ていると述べた。近さという点で、欧州にある国が望ましいだろうとも語った上で、「選択肢はたくさんある。すべての申し出が大変ありがたく、検討に値する」とも述べた。

ゾラ氏は具体的な計画実行方法についてはほとんど明かさなかったが、サーバーや取り外せるデータ保管装置といった物の移送と、サーバーのデータを別のサーバーに移す方法の双方を検討しているとした。

議会で承認されても政府のデータやネットワーク機器をすべて、あるいは大半をただちに国外に送るということでは必ずしもなく、政府機関ごとにケースバイケースで、国内で仕事を続けるか、国外に出すかを決める必要があるとも強調した。

昨夏のアフガニスタンのカブール陥落の際には、政府職員やアフガン軍兵士の給与情報など、その後のイスラム主義組織タリバンによる拘束や殺害につながり得る機微なデータがタリバンの手に渡った形になった。

同様の懸念がウクライナにもあてはまるとされる。ロシアがウクライナを支配・統治したいのであれば、ウクライナ政府のデータベースや機密情報ファイルを得ることは助けになる可能性がある。

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