健康的に痩せるには、炭水化物も不可欠です。(Shutterstock)

美しく痩せるために「炭水化物も必要です」

フィットネスとは、自身の体を、健康面および美容面で、最も理想的な状態に近づけるための能動的な営みです。その場合、筋肉量が増えることで体重が増加することは、あまり否定されません。

カロリーの多寡ではなく、その内容が重要

これに対してダイエットは、その目的はフィットネスに共通する部分が多いのですが、主として体重を減らすことに意識の重点がおかれています。

これらは男女を問わず健康に留意しながら行われるべきものですが、特に女性に関しては、その体の特性から皮下脂肪がつきやすいので、筋肉量を増やし、脂肪を減らす必要があります。

脂肪を減らすには、重要なポイントがあります。

それは三大栄養素であるタンパク質炭水化物、脂肪のバランスです。バランスのとれた三大栄養素とは摂取カロリーのことで、特にここでは、ダイエットにおけるタンパク質と炭水化物の必要性をお伝えします。

筋肉ではなく脂肪を減らしたい場合。あるいは体脂肪ではなく筋肉を増やしたい場合。

いずれの場合も主要栄養素とのカロリーバランスに細心の注意を払う必要があります。

ただし、タンパク質によるカロリーと、炭水化物や油脂がもたらすカロリーは、体内での作用が大きく異なるため、単にカロリーの数値だけを見ることはできません。

タンパク質は十分摂る

では、これらの栄養素が、どのように体重を減らすのに役立っているかを見てみましょう。

まずは、主要栄養素の第一であるタンパク質です。

端的に言えば、高タンパク食はあらゆる面で低タンパク食よりも優れていることが証明されています。具体的には、タンパク摂取量が十分である人は、ダイエットに以下のような利点があります。

まず、脂肪を減らすエクササイズが効率よく進められることです。タンパク質摂取が十分であれば、筋肉量を増やすことができ、そこでより多くのカロリーを燃焼することができます。また、空腹感を減らす効果もあり、骨も強くなり、爽快な気分を保つことができます。

規則正しい運動をするときに、より多くのタンパク質を摂取する必要があります。脂肪を減らすためにカロリー制限をしている人も、タンパク質は十分な量を摂取して筋肉をつけなければなりません。

体は規則正しい運動をするときに、より多くのタンパク質を補給する必要があります。(Shutterstock)

炭水化物を上手に摂る

炭水化物は敵ではありません。それを理解し、上手に使うには、まず炭水化物の化学構造と体内の状況を簡単に見てみましょう。

炭水化物には、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類という4つの主要な形態があります。

単糖類の構造は非常に単純で、単一分子しかありません。

単糖類にはグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトースの3種類があります。グルコースは自然界に広く存在する分子であり、生体における重要なエネルギー源になるもので、多くの炭水化物の構成成分でもあります。

フルクトースは、多くの果物やハチミツに含まれており、加工食品あるいは市販の飲料に含まれる砂糖もフルクトースです。フルクトースは肝臓でブドウ糖に変換され、エネルギー源として使用されます。ガラクトースは主に乳製品に含まれ、フルクトースと同様に代謝されます。

二糖類は通常、ショ糖(スクロース)、乳糖、および麦芽糖(マルトース)として存在するものです。

スクロースは植物に存在する天然の糖分で、サトウキビやテンサイから抽出して食用としています。乳糖は牛乳中の糖分で、ブドウ糖とガラクトースを含んでいます。

マルトースは、自然界ではあまり見られない2つのブドウ糖分子を結合させた糖で、通常はアルコール醸造に使われます。

オリゴ糖は、いくつかの単糖分子が結びついてできた糖です。オリゴ(Oligo)がギリシャ語で少数を意味するように、オリゴ糖は少量の糖であることを示しています。

ラフィノースは自然界でよく見られるオリゴ糖であり、消化されずに大腸まで届いて、ビフィズス菌などの腸内プロバイオティクスを増殖させます。

 

豆類の中のラフィノースは、自然界でよく見られるオリゴ糖です。大腸まで届いてビフィズス菌を増殖させます。(Shutterstock)

単純なブドウ糖ではなく「雑多な栄養を」

多糖類の代表であるデンプンは、植物がエネルギーを貯蔵する形でたくわえたものです。人体はデンプンをブドウ糖に分解しますが、食物繊維は消化されず、腸内を通過します。

消化されない繊維部分を除いて、すべてのタイプの炭水化物には重要な共通点があります。つまり、最終的にはブドウ糖の形で体内に存在し、吸収されるということです。

果物の天然糖であれ、加工された飴であれ、緑色野菜の中の糖分であれ、すべてブドウ糖に転換されて消化され、血液中を運ばれて人体に使用されます。これら形態の異なる炭水化物の主な違いは、その変換の速度にあります。

飴玉がブドウ糖に変換される速度が速いのは、ほとんどが消化の速い単糖であるためです。これに対して、緑色野菜のブロッコリーは消化の遅いオリゴ糖を含んでいるため、その変換は比較的ゆっくりとしています。

そこで、糖質が健康的かどうかを決めるカギは「炭水化物がブドウ糖に変わる速さにある」と言われていますが、この説は正しくありません。

要は、単糖としてのカロリーだけではなく、多種類のビタミンやミネラル、食物繊維もふくめて全てが必要であり、それらをバランスよく摂取してこそ健康的であると言えるからです。

例えば、ベイクドポテトのグリセミック指数は85と非常に高いですが、ジャガイモには多くの重要な栄養成分が含まれています。スイカのグリセミック指数は72。オートミールは58です。どちらもスニッカーズのチョコレートバーの55より高いのです。

ただし、恐ろしく甘いコーラやチョコレートバーには、多種類の複合的な栄養素はほとんど含まれていません。

ベイクドポテトのグリセミック指数は85と非常に高いですが、ジャガイモには糖類以外にも重要な栄養素が多く含まれています。(Shutterstock)

糖度の高い加工食品、つまり砂糖とフルクトースを加えて単純な味をつけただけの食品は、代謝異常を引き起こし、健康に良くない影響を与えます。

肥満と栄養不良を含めた各種の症状は、すべて糖分の過剰摂取によるものであると言えます。したがって、糖分摂取量を制限することは体に大きなメリットをもたらしますが、これは炭水化物の全ての種類を制限するという意味ではありません。

健康で活動的な生活を送る人、規則正しい運動習慣のある人は、炭水化物の内容に留意して、適量を摂取することが必要です。

(翻訳編集・鳥飼聡)

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