2月26日、 欧州連合(EU)と米国などはウクライナに侵攻したロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することなど、対ロ追加制裁を発表した。写真はSWIFTのイメージ。25日撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

情報BOX:ロシアのSWIFT排除、その威力と世界への影響

[ロンドン 26日 ロイター] – 欧州連合(EU)と米国などは26日、ウクライナに侵攻したロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することなど、対ロ追加制裁を発表した。

国際銀行間の送金・決済システムであるSWIFTの機能やその重要性などをまとめた。

<SWIFTとは何か>

「Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication」の略で、国境を越えた迅速な決済を可能にし、国際貿易を円滑に行うためのシステム。このシステムに接続する銀行は、SWIFTメッセージを利用して支払いを行える。同メッセージは安全とされ、大量の取引を迅速に処理できる。

SWIFTは国際貿易における資金送金の標準的な手段となっており、2020年の年次報告によると、SWIFTプラットフォーム上では、毎日約3800万件の送金メッセージがやり取りされた。年間では何兆ドルもの資金が同システムで送金されている。

<SWIFTの誰のものか>

1970年代に設立されたSWIFTは、サービスを利用する数千の加盟機関の協同組合。本部はベルギーにあり、20年に3600万ユーロの利益を計上した。

<SWIFT排除がなぜ深刻なのか>

ロシアの銀行がSWIFTから排除されると、同国は世界中の金融市場へのアクセスが制限される。ロシアの企業や個人は、輸入品の支払いや輸出品の受け取り、海外での借り入れや投資が難しくなる。

ただ、電話やメッセージングアプリ、電子メールなど、他の決済チャネルは利用できる。その場合、制裁を科していない国の銀行を経由して支払いを行うことになるが、代替手段は効率性や安全性が低い可能性が高く、取引量の減少やコスト上昇の可能性がある。

<他国への影響は>

輸出企業にとっては、ロシアへの商品販売のリスクとコストが増加する。ロシアは製造業製品の大口購入国で、世界銀行のデータによると、オランダとドイツはロシアにとって2番目と3番目の貿易相手国。

ロシア製品の買い手もより困難に直面し、代替サプライヤーの模索を迫られる。

ただ、ロシア産の石油とガスについては、代替供給国を見つけることが難しいとみられる。欧州委員会によると、ロシアはEUにとって原油、天然ガスなどの主要な供給国。

<SWIFTは経済制裁に拘束されるのか>

SWIFTはベルギーと欧州連合の規則に拘束される。

EUは12年3月、イラン核開発計画を巡り制裁対象になったイランの企業や個人へのサービスをSWIFTに禁じた。対象には中央銀行や大手銀行も含まれた。

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