私は「収納否定派」です。棚や物置、キャビネットなどの収納スペースは、基本的に整理整頓の面ではマイナスだと思います。つまり、収納棚や収納スペースは全く必要ないのです。
言うまでもないことですが、収納棚は当然、物をしまうためのものですが、しまってしまうと、使いたいときに探すのに時間がかかったり、取り出すのに手間がかかったりします。
またいつか処分した方がいいのですが、使っていないので片付けると見えなくなり、いつまでも家の中に収納されているものもあります。
そうするうちに、気づかないうちにモノがどんどん増え、使わないモノが生活空間を圧迫してしまいます。これはすべて収納棚のせいです。ですから、生活に必要なものをすべて、すぐに使えて整理整頓できるようにしたいのであれば、収納棚はないほうがいいのです。
物を片付ける用途は、悪い習慣を変えたいときだけです。ある研究では、スナック菓子を食器棚にしまって見えないようにすることで、3分の1にまで減らすことができたそうです。
ですから片付けるのをやめて、代わりにデコレーション収納を使うことをおすすめします。デコレーション収納とはまず、ホテルの一室を想像してみてください。ホテルの部屋では、基本的に片付けるものはありません。 タオル、バスローブ、バスルーム用品など、手の届くところに置いて、いつでも使えるようになっています。
それでいて、まったく乱れることなく、きちんと整理整頓され、清潔感があります。これがデコレーション収納の方法です。家でも手の届くところに物を置いて、すぐに使えるようにすれば、うまく整理整頓できるはずです。
例えば、多くのキッチンは、ガスコンロの上下に扉付きの食器棚があるシステムなので、カトラリー(ナイフやフォーク)を食器棚の奥に入れると、隠れてしまいます。反対にデコレーション収納は、食器棚の扉を開けると、まるでライフスタイルショップのようにカトラリーが並んでいて、欲しいものがすぐに手に入るようにしたいのです。
もちろん、それを実現しようと思えば、使用スペースが減ります。それだけでなく、せっかく美しく並べたのに、余計なものが加わるとバランスが崩れて見栄えも悪くなります。しかしそれによって自然と「物を減らそう」「増やしたくない」と思うようになるのです。
一般的に、飾り気のないものでも、デコレーション収納には適していると言われています。例えば、洗濯粉などの消耗品を収納すると、使いもしないのに予備の洗剤が場所を取ってしまいがちですが、洗濯機の横に飾りとして置いておけば、片付くだけでなく、間違えて洗濯剤を大量に買ってしまうこともなくなります。
片付けるのではなく、飾っておくというのは、収納の考え方における基本の一つであり、モノを増やさないためのポイントでもあるのです。
収入用品の購入削減
家の中に収納スペースが多いということは、それだけたくさんのものが入るということ。つまり、この収納庫にモノを詰め込むことで、家の中がどんどんぎゅうぎゅうになっていくという道理です。
家の中をきちんと整理したいのであれば、まずは収納スペースを減らすこと、その第一歩は処分することです。引き出しの多い家具、タンスに入る収納ボックス、ファイリングキャビネットなどの収納用品はできるだけ処分しましょう。また、これからは収納スペースを増やすようなものは絶対に買わないということ意識してください。
収納スペースを減らすと聞いて、「そうなったら、大切なものが埃をかぶってしまう」と心配される方もいらっしゃいます。実際、砂嵐の多い地域や古い砂壁でない限り、家の中のほこりはタオルや衣類の繊維から発生しているので、持ち物を減らせば、ほこりも減るというわけです。
家の中のものが少なくなれば、掃除機やダスターで取り除く必要があっても、観賞用として収納しやすくなるのです。
見た目の美しさを引き立てる家具を選ぶ
冒頭で述べたように、家具選びは実用性で判断してはいけません。
実用的な家具は収納が充実しているものが多いですが、整理整頓に役立つのは収納スペースを減らすことなので、収納がある家具を購入するのはやめたほうが良いでしょう。
逆に言えば、実用性という心理的な側面にも注目することが重要です。
私は、家具の機能は収納することではなく、集中力を高める雰囲気や環境をつくることだと考えています。簡単に言えば、心を落ち着かせ、モチベーションを高めてくれるような家具を選べばいいのです。
そのため、自分の好みに合わせて、あるいは希望するスタイルに合うようなデザインの家具を選ぶことが重要です。ですので時にはお気に入りのデザイナーの家具やブランド製品を買ったりするのも、心や集中力を高揚させる効果があるのです。心理的な実用性で家具を買う習慣がつくと、収納スペースが少なくなり、家もどんどん片付いていきます。
ポイントは究極の収納術は、「しまう」のではなく、「飾る」ことです。収納スペースを減らせば、自然とモノは少なくなります。
(翻訳・志水慧美)
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