「人質外交」が進行中?中国当局、今も100人以上のカナダ人を拘束
カナダで逮捕された中国通信機器大手・ファーウェイの孟晩舟副会長の釈放と引き換えに、中国で3年間拘束されていた2人のカナダ人が24日、解放された。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)27日付によると、中国では現在、少なくとも115人のカナダ人が拘束されている。
中国系カナダ人弁護士のジェームズ・ライ(頼建平)氏によると、カナダ人らは人質外交とみられる政治事件、通常の刑事事件、政治問題などの理由で拘束されている。
カナダ政府にとって、政治問題に端を発する拘束はとくに注意が必要だという。今回の2人のカナダ人のように国際的な圧力によって解決される可能性があるためだと同氏は述べた。
「政治的報復のために法律を濫用してはならないことを、中国政府に明確に伝えなければならない」とライ氏は圧力をかけることの有効性をRFAに語った。
通常の刑事事件としては、カナダ生まれの中国系男性歌手、ウー・イーファン(呉亦凡)が先月、未成年者に対する強姦の容疑で中国警察当局に拘留された。事件の全容は現在も調査中だが、カナダ政府は公式にコメントしていない。
カナダ人のロバート・シェレンバーグ氏の麻薬密輸事件も、孟晩舟事件と直接つながっていると考えられている。2018年11月、シェレンバーグ氏は麻薬密輸の罪で懲役15年の判決を言い渡されたが、2019年1月に控訴審で死刑判決を受けた。彼は、自分は普通の旅行者で、中国の麻薬密売人にはめられたと主張した。カナダ政府はこの件に関して中国当局に繰り返し反対の意向を表明してきた。
中国系カナダ人の女性実業家、孫茜(サン・チェン)氏は2017年、気功修煉法「法輪功(ファルンゴン)」を修煉していたとして中国当局に逮捕され、2020年6月に北京の朝陽区裁判所で8年の懲役刑を言い渡された。一部の国会議員はカナダ政府に対し、中国当局に孫氏を解放するよう圧力をかけることを求めているが、トルドー政権はこれまでのところ、この件に関する公式声明を発表していない。
難民としてカナダ国籍を取得したウイグル人のフセイン・セリルさんの場合、2006年にウズベキスタンにある妻の実家を訪ねた際、地元警察に逮捕され、中国に送還された。2007年にはテロ容疑で無期懲役の判決を受けた。中国当局は彼のカナダ人としての地位を認めず、カナダ大使館員の訪問も拒否した。
また、米国の永住権を持つ著名な人権活動家である王炳章氏は、2002年にベトナムから中国当局に拉致され、スパイ・テロ行為の罪で終身刑を受けた。同氏の両親や妻と子供、兄弟がカナダ市民であることから、カナダ政府に王氏への人道的支援を訴えている。
バンクーバー中国自由民主人権促進協会の黄宇寧会長は、RFAに対し、「王炳章博士は、海外における中国民主化運動の先駆者として知られている。長年にわたり、私たちはカナダ政府に対し、王氏のために外交努力するよう求めてきたが、何の反応もなかった」と語った。
(翻訳編集・王君宜)