漢方医からのお願い「女性は体を冷やさないで」

まだまだ残暑厳しい折から「冷たいものを口にしたい」と思うことは、よくありますね。

水分補給は必要ですので、飲み過ぎなければ、冷えた飲み物をなしで飲むことは全く問題ありません。

漢方医はよく「女性はなるべくアイスを食べないようにしてください」と言います。

もちろん、アイスという食品がいけないという意味ではありません。アイスやかき氷を食べ過ぎて体が冷えてしまうことが、特に女性の場合は、保健の観点からご注意いただきたいというお願いなのです。

台湾にある御絨漢方医院の女医・廖婉絨(りょう えんじゅう)医師は、若い女性がアイスや氷を食べ過ぎて体が冷えたときに懸念される10の症例について、分析しました。

その症例を列挙すると、以下のようになります。

「下腹部の肥満」「便秘および下痢」「精神的疲労」「関節の腫れ」「各種のアレルギー症状」「おりものが多くなる」「膣部の炎症」「生理痛」「経血の減少」「早産しやすくなる」等。

廖婉絨医師は、次のように言います。

「冷たいものを口に入れると、寒気が体内に入ります。長期的にアイスを食べ、氷水を飲むと、まず脾臓と胃の機能に影響を与えることになります」。

「そのことによって脾臓と胃が機能不全になると、水湿(体内水分の停滞)が起きます。これは、むくみとなって、やがて五臓六腑の陽気を損ない、代謝や循環の機能を低下させるのです」。

アイスや氷水を胃に入れれば、とけて体温と同じになってしまいますが、その分、体から陽気が失われ、体を冷やすことになります。それを原因として上記のような症状を招くことになるのですが、特に漢方医学の観点から、この「脾胃の失調」は重大な疾病を招く要因にもなるとして、予防が呼びかけられています。

そこで再度のお願いですが、妊婦さんや子宮筋腫の患者さんは、ぜひアイスや氷水を口にするのを避けてください。

廖婉絨医師によると、妊婦は、胎児をはぐくむ体内環境を保つため、十分な陽気を必要とします。ところが長期間にわたってアイスや氷を食べると、体内の陽気が不足しがちになり、妊婦にとって懸念される事態を招く危険性が高くなるのです。

これは漢方医だけでなく、産婦人科の医師も、虚寒体質の妊婦が妊娠初期に氷を食べると、早産になりやすいことを知っています。

一方、西洋の女性はよく冷たい飲み物を飲みます。西洋の医師も、産後の女性に氷を食べることを提案すると言いますが、なぜでしょうか。

これは、氷が子宮の血管を収縮させ、産後の出血を減少させるからです。西洋の女性は日光を浴びることが好きで、運動することが好きです。西洋の食事は脂肪分が多く、カロリーが高いので、氷の寒気を防ぐのに十分な陽気があります。つまり東洋の女性とは、体質が異なっているのです。

廖婉絨医師は、アイスや氷水に代わるもので、暑気を払う食物を紹介してくれました。

野菜のなかの瓜類が、夏の暑さでほてった体の熱を除去するのに最適だそうです。スイカもいいのですが、糖分である甘味がつよいので、キュウリや冬瓜、ゴーヤなどもその代わりになります。ぜひ、お試しください。

なお、最後になりましたが、冷房が効いたオフィスなどでは、男女を問わず、冷たい飲み物は控えたほうが良いことを申し上げます。

(文・Amber Running Green/翻訳編集・鳥飼聡)