日本など25カ国の外交官、険しい顔つきで北京のカナダ大使館前に並ぶ 異例のアクション
外国人を恣意的に拘束し報復的な刑罰を与える中国共産党に対し、民主主義国は連帯して、非難する態度を示した。11日、北京のカナダ大使館では、日本を含む25カ国からの50人以上の外交官が、険しい顔つきで整列するという珍しい形のアクションを行った。カナダ人拘束事件は、中国通信大手「ファーウェイ」の高級幹部・孟晩舟氏の審理が行われているカナダへの圧力であるとの見方もある。
Today the Canadian embassy and 25 countries stand together in solidarity for #MichaelSpavor, arbitrarily detained in China since December 2018. pic.twitter.com/hqUvJl5eJO
— Canada in China (@CanadaChina) August 11, 2021
中国北部にある遼寧省の丹東市中級人民法院は同日、スパイ容疑で起訴されたカナダ人実業家のマイケル・スパバ氏に懲役11年、国外追放の有罪判決を下した。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、スパバ氏に対する判決は「絶対に受け入れられない。透明性を欠く、国際法で求められる最低限の基準さえ満たさない不当なものだ」と非難した。さらに、スパバ氏と同時期に拘束された元外交官マイケル・コブリグ氏についても即刻の釈放を求めた。
Please read my statement on China’s unacceptable and unjust conviction and sentencing of Michael Spavor: https://t.co/HkclGFeWCB
— Justin Trudeau (@JustinTrudeau) August 11, 2021
ドミニク・バートン(Dominic Barton)駐中国カナダ大使は「公正さと透明性を欠いた裁判の判決を、最も強い言葉で非難する」と述べた。報道によるとスパバ氏の裁判は秘密裏に行われ、スパバ氏が弁護士を選ぶことも許されず、勾留中はカナダ領事との接触も「ひどく制限」されたという。
バートン大使は拘置所でスパバ氏と面会した際、3つのメッセージを託されたという。それぞれ、支援者に対する感謝、自身の精神状態は落ち着いているということ、自宅に帰りたいことだった。
死刑判決でカナダ政府を「揺さぶる」
10日、遼寧省高級人民法院(高裁に相当)は麻薬密輸の罪で死刑を言い渡されたカナダ人のロバート・シェレンバーグ氏の上告を棄却し、死刑判決を維持した。
シェレンバーグ氏は2018年11月、一審で懲役15年の判決を言い渡された。その数日後、ファーウェイCFOの孟晩舟氏がカナダで拘束された。中国共産党当局はカナダに対し、孟氏を釈放しなければ何らかの結果が発生すると脅した。
シェレンバーグ氏は控訴したが、検察側が提示した「新証拠」があるとの理由で差し戻され、2019年1月に死刑判決を受けた。
高裁での死刑判決を受けて、カナダのガルノー外相は10日の声明で「強く非難する」と表明し、中国当局と交渉を継続する意志を示した。
一連の逮捕と厳罰は、ファーウェイの孟晩舟氏の審理を行うカナダへの揺さぶりであると見られている。
中国人権問題で連帯する民主主義国
米国のブリンケン国務長官や欧州連合(EU)は11日、中国の恣意的な拘束と報復的な量刑に強く反対し、スパバ氏と同時期に逮捕された元外交官マイケル・コブリグ氏らの即時かつ無条件の釈放を求める声明を発表した。EUはまた、シェレンバーグ氏の減刑を求めた。
ブリンケン長官は声明のなかで、米国は「国家間関係における恣意的抑留に反対する宣言」に参加した60カ国以上の国々と行動を共にしていると強調した。
12日、茂木敏充外相は、カナダのマーク・ガルノー外相と電話会談を行った。拘束されたカナダ人らの状況を聞いた茂木外相は、懸念を持って注視すると述べた。
(佐渡道世)