台湾の人気タレント、小S(シャオエス、徐熙娣)(Chen Bo-chou / Epoch Times)

台湾選手応援した大物女優に小粉紅がバッシング 専門家「中共がナショナリズム扇動の結果」

台湾の人気タレント、小S(シャオエス)の愛称で知られる徐熙娣(じょ きてい)さんは、台湾選手を「国手(国家の代表)」と呼んで応援したことで、中国の「小粉紅(シャオフェンホン、中国共産党寄りの民族主義者)」の攻撃の的になり、中国企業4社が広告契約を打ち切った。専門家は「中国共産党(以下、中共)がナショナリズムを煽り続けてきた結果だ」と指摘した。

今回の東京オリンピックでは、台湾勢はこれまでに金2個、銀4個、銅5個の計11個のメダルを獲得し、2004年のアテネ大会で記録した金2個、銀2個、銅1個を更新した。

1日に行われたバドミントン女子シングルス決勝では、台湾の「バドミントン・クイーン」と呼ばれる戴資穎(タイ・ツーイン)選手が中国のトッププレーヤー陳雨菲選手と対戦し、銀メダルを獲得した。

小Sは2日、インスタグラムに、戴選手の写真を添えて「敗れても光栄だ。だが、私は気絶しそうになった」と選手の活躍を称えた。

この投稿は、小粉紅の不満を買った。その後、小Sが過去に投稿した、台湾選手を「国手」と呼ぶ書き込みが公開され、「台湾独立分子」というレッテルを貼られた。彼女の微博アカウントには、大量の小粉紅が殺到し、誹謗中傷のコメントを書き込んだ。

しかし、小Sの発言に対し、中国のネットユーザーからは、「台湾の出場者も中国人なのだから、国の代表と呼んでも問題ないだろう、台湾代表と呼ぶべきか?」「文字の獄(言論弾圧)に近いものだ」などと反論する投稿もあった。

小Sと広告契約を結んでいる中国企業4社は騒動にすぐ反応した。シャンプーブランドと衣料品ブランドが、小Sとその娘Elly(エリー)とのパートナーシップを終了すると発表した。他の2社は、小Sとの契約を即日終了したと発表した。

また、台湾のポップシンガー、ジョリン・ツァイ(Jolin Tsai、蔡依林)さんも、台湾選手を応援するメッセージをインスタグラムに投稿したことで、小粉紅に「なぜ中国選手の金メダル獲得を祝うメッセージを送らないのか」「台湾独立分子になりたければ、金儲けのために中国に来るな!」となじられた。

議員、いじめ容認する北京の冬季五輪開催の正当性に疑問

これに対し、台湾の複数の立法委員(国会議員)からは抗議の声が上がっている。与党・民進党の立法委員、趙天麟氏は2日のFacebookへの投稿で、このネットいじめは台湾の芸能人だけでなく、他国のスポーツ選手や自国の選手も標的にしていると述べた。

趙氏は、オリンピックの精神に反するネットいじめを放置し続けている中共に、冬季オリンピックを開催する正当性があるのか疑問を呈した。また、台湾選手の優勝表彰式の放送を公然と中断した中国国営中央テレビ(CCTV)を、「小粉紅」の横暴を助長する元凶だと指摘した。

先月31日、バドミントン男子ダブルスで、台湾が中国を破って金メダルを獲得したが、CCTVはこの試合のメダル授与式を放送せず、中台のネットユーザーに衝撃を与えた。

民進党の陳亭妃立法委員は3日、台湾メディアの取材に対し、「(今回の事件は)表現の自由や民主主義に反対する中共の素顔を反映している。中共は自国民を弾圧し続けている。脅迫や恣意的な財産・生命の略奪といった方法まで用いている。台湾のために発言すれば、容赦ない攻撃を受けることになる」と批判した。

民進党の党団書記長、羅致政立法委員は、3日のオンライン記者会見で、中国当局が政治とスポーツを混同していると批判し、「このような行為は、台湾をますます中国から遠ざけることになる」と述べた。

中共による憎悪に満ちたナショナリズム

上級戦略研究員の何澄輝氏は3日、大紀元の取材に対し、「これは中共がナショナリズムを操作した結果である。中共は長い間、国民の間で憎悪に満ちたナショナリズムを煽ってきた。時間が経つにつれ、小粉紅たちは勝手にあちこちを攻撃するようになった」と述べた。

同氏によると、中共は国威発揚のために、スポーツを政治的プロパガンダの道具として利用してきた。オリンピックでは、中共は、中国選手が全勝すれば満足だという態度で、競技そのものの意義を踏みにじっている。今では、この大会が、小粉紅たちのナショナリズムを発散する場となっているという。

米議員が国際オリンピック委員会(IOC)に2022年の北京冬季五輪を中止するよう求めていることについて、何氏は、IOCは民間団体で、政府の支配に属さないと述べた。しかし、中共の人権侵害、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の情報隠蔽、戦狼外交に不満を持つ国が増える中、IOCが北京冬季五輪中止の圧力を感じるかどうかは未知数であるという。

(翻訳編集・王君宜)

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