手を診て病気を判断
漢方医学では望、問、聞、切という四診法で患者さんの身体情報を収集し、得られた情報を分析して診断します。身体情報の一部は、手を見たり、触ったりすることによっても得られます。以下、手から得られた情報によって病気との関連を判断する、いくつかの例をご紹介します。
掌の中心部に汗をよくかく場合は、肺と脾の機能が弱い場合が多いです。
指の腹が赤い色を呈していれば、高脂質血症を意味します。
指の関節周囲に血管が浮き上がっている場合、末梢循環障害を有する可能性が高いです。
5本の指を合わせる際に指の間に隙間が多い場合は、胃腸機能が弱いことを示しています。
硬いスジのある爪は、肝臓の病気があることを意味します。
指の付け根に隆起した状態が見えたら、便秘に悩みやすい体質であることを示しています。
大魚際(親指の中手骨掌側)に深い皺がある場合は、動悸、不整脈に見舞われやすくなります。
手首から小魚際(小指の中手骨掌側)まで伸びる青い血管が認められる人は、腰痛を感じやすい状態にあります。
蒼白な爪の色は、血虚と腎虚を意味します。
右手の親指と人差し指の中手骨の間の掌側部は、肝臓の代表部位です。その部分の皮膚に太い皺があれば視力の低下を意味し、細かい皺があれば筋腱や筋膜が弱くなっていることを意味します。
掌の中心部の色が赤黒い場合は、胃の疾患があることを示します。
親指の付け根の掌側の紋様が乱れていれば、胃の病気が起きやすい状態です。
左手の親指と人差し指の中手骨の間の掌側部は、脾臓(膵臓)の代表部位です。朝晩この部位を軽く揉むと、健康増進や免疫力の強化に効果があります。
手首の横紋の両端は乳腺の代表点です。この部位にしこりがあれば、乳腺線種が発生しやすい状態です。
人差し指の爪は脳血管に関係が深く、この爪の凸凹は脳動脈硬化を示します。
中指の付け根に青い血管が浮き上がっていると、生理痛が発生しやすい状態です。この部位は生殖器の疾患に関連するため、男性は左手、女性は右手の同部位を観察し、情報を得ます。
(漢方医師・甄 立学)