茂木敏充外務大臣は記者会見で、袁克勤元教授の拘束について「関心を持って注視する」と述べた(Photo by PHILIP FONG/AFP via Getty Images)
【人質外交】

中国が北海道教育大の元教授を拘束し「外交カード」として利用=法学者

スパイ容疑をかけられ、2年近く中国共産党政権に身柄を拘束されている袁克勤(えん・こくきん)元教授が、中国当局によって起訴されていることが明らかになった。26日、中国外交部(外務省に相当)の趙立堅報道官が発表した。これについて、大紀元の取材に答えた日本の法律学者は、中国は個人を恣意的に拘束して「外交カード」にしていると非難した。

東アジア史を専門とする、北海道教育大学の袁克勤元教授は2019年、母親の葬儀のため中国に一時帰国した際、吉林省長春市で当局に拘束された。家族との面会が許されておらず、研究者仲間や友人からは健康を気遣う声も出ている。20年以上勤務した同大学は今年、本人不在のまま定年退職とした。

元教授を「スパイ」として起訴する中国共産党 詳細はいまだ不明

 

中国外交部の趙立堅報道官は26日の記者会見で、「袁克勤は中国の公民だが、長期間にわたり日本の情報機関の要求に従い、日本のためにスパイ活動を行っていた。すでに袁克勤はスパイ容疑で中国国家安全当局の取り調べを受け、犯罪の事実を自供した。事実は明らかであり、確固たる証拠もある。すでに検察機関が起訴し、裁判所に移送された」と述べた。

中国外交部による記者会見の前日、袁克勤元教授の長男・袁成驥(えん・せいき)さんとその支持者たちは北海道庁で記者会見を行い、無実と早期解放を訴えた。中国側の発表は、これに対するけん制であるとの見方もある。

中国当局は、袁克勤元教授が具体的にどのような理由で拘束されたのかについては明らかにしていない。

外国人が中国で「スパイ」容疑をかけられ、恣意的に拘束される事案はたびたび起きている。直近の例では、2018年に伊藤忠商事の日本人男性従業員が「国家の安全に危害を与えた罪」で実刑判決を受けている。この件も、有罪判決のもととなる具体的な行為については明かされていない。

中国の刑法にもスパイ罪に関する規定があるものの、2014年、新たに「反スパイ法」が制定された。同法により日本人が拘束される事案は、2015年以降で10件以上発生している。

中共は個人を「外交カード」に使用=法律学者

中国共産党は袁克勤元教授の拘束・起訴をめぐって、日本に対する「外交カード」にしていると専門家は指摘する。

中国の法律事情に詳しい鈴木賢・明治大学教授は大紀元の取材に対して、「どんな行為を『スパイ行為』と中国側が捉えているかがわからないため、あらゆる人がスパイ容疑をかけられてしまう」と述べ、中国共産党政権の司法の不透明さに懸念を示した。また、恣意的拘束は学問の自由や人の交流の萎縮に繋がりかねないとした。

鈴木教授は、中国共産党当局による外国人の拘束は「日常茶飯事だ」とし、「最近ではオーストラリア人が狙われている。スパイ容疑で長期間拘束され、裁判にかけられる事例が複数起きている」と述べた。

そのうえで、「(拘束されたオーストラリア人は)いずれも帰化した華人だ。それにも関わらず拘束された。袁先生はまだ中国籍だから、扱いはもっとひどいかもしれない。袁先生の健康が心配だ」と心情を吐露した。

鈴木教授は、台湾問題など米国との関係を強化させる日本をけん制する狙いがあるのではないかと考えている。4月、日米首脳会談後の共同声明で台湾問題をおよそ半世紀ぶりに明記した。また、台湾のWHO総会の参加可否をめぐっても、台湾への支持を日米豪とともに表明している。

「中国籍の場合、中国国内の問題と扱われがちだ。日本政府はやりにくいと思う」としながらも、日本関係者の拘束問題を放置しないよう、鈴木教授は政府に求めている。「すでに日本人が捕まっているが、コロナが収まって、人の動きが多くなると次々と逮捕者がでる恐れがある」と警鐘を鳴らした。

茂木外務大臣「関心を持って注視する」

 

茂木敏充外務大臣は5月28日に行われた記者会見で、袁克勤元教授について「長年にわたって我が国の大学で教職に就かれていた。関心を持って注視をしている」と述べた。いっぽう、詳細については「事柄の性格上、これ以上のコメントは控えさせていただく」とし、中国外交部の発表についてコメントをしなかった。

茂木大臣の発言に対し、鈴木教授は「政府が関心を持っていることを表明することは一定のプレッシャーになると思うので、私たちとしては歓迎している」と述べた。

袁克勤元教授の釈放を求めて、日本の研究者は有志組織「北海道教育大学・袁克勤教授の安否を憂慮し無事教壇復帰することを願う会」を結成して活動している。同会は5月31日午後3時、衆議院第2議員会館で記者会見を行う予定だ。

(王文亮)

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