鮭のもつ5大栄養は脳を元気にします。(Shutterstock)

台湾でも人気 「鮭」の5大栄養で脳を元気に

日本食の定番おかず「」は、台湾でも回転寿司のネタとしてよく知られており、人気の食材です。

台湾出身で、日本に嫁いだ郭枝蓁さんは、「京都の老舗」の経営文化を研究しています。日本人の食文化にも詳しい郭さんは、「日本では、鮭を寿司ネタなどでもよく食べますが、なんと言っても、ご飯にみそ汁の朝食に焼いた塩鮭がつくのが定番です」として、日本食のなかの「鮭」に注目しています。

また台湾では、日本人が好きな鮭の栄養価についても関心がもたれています。栄養士の夏子雯さんは、自身のフェイスブック「夏子雯 貼近你生活的營養師」で、日本人がよく食べる鮭には5種の重要な栄養素が豊富に含まれていることを紹介しています。

その一つは「オメガ3脂肪酸」。鮭に多く含まれるオメガ3脂肪酸は、動脈硬化や膵臓炎の原因にもなる血中脂肪トリアシルグリセロールの値を下げる効果があります。オメガ3脂肪酸の一種であるエイコサペンタエン酸には、炎症を抑える、抗うつ、心臓の血管を守る、血栓の防止など、多くの有益なはたらきがあります。

二つ目に、鮭に含まれる良質なタンパク質。三つ目に挙げるのが、人が必要とするビタミンB群で、疲労回復や精神の安定、大脳や神経を守るなどのはたらきがあります。四つ目に、これも欠かすことのできないビタミンD。カルシウムの吸収を助けます。天然ものの鮭は、養殖の鮭(輸入もの)に比べて、含まれるビタミンDの量は3倍と言われています。そして、五つ目として挙げられるのが抗酸化作用のあるリコピンで、これは天然のカロティンに属し、眼の黄斑部を保護して眼精疲労を緩和します。

鮭に含まれる5種の栄養素は、心臓の血管を保護し、脳や眼にも有益です。(Justin Sullivan/Getty Images)

このように鮭は栄養価が高い魚ですが、食べる人の体質によっては、多く食べるのを避けたほうがよい場合があります。肥満体質で高血脂の人、胃腸のすぐれない人、腎臓機能に心配がある人などは、体に負担がかかる場合があるので、鮭を多く食べることは避けてください。また胃腸が弱く下痢しやすい人には、脾臓や胃を冷やしてしまうので、寿司ネタなどの生の鮭を多く食べることはお薦めできません。

台湾中原大学の生物化学技術系副教授で、毒理学の専門家である招名威氏は、「鮭は、総体的には良い食材だと言えますが、大量に食べると心配な要素も含まれています」と言います。

招氏によると、海洋生物のなかで、食物連鎖によって分解できない毒素がより大きな生物に蓄積されていくため、「30センチ以上の大きな魚」には重金属などの残留物があり、注意が必要なのだそうです。それに加えて鮭には、アニサキスなどの寄生虫がついている場合がありますので、加熱調理するか、-20度以下で24時間冷凍するなどの方法で寄生虫を死滅させてから食べるようにしてください。

招氏はまた、「鮭を食べるのは週に2回。食べる量は、1回あたり手のひら半分までが適量でしょう。鮭の内臓や皮は、重金属が蓄積しやすい部分なので食べないほうが無難です」とも述べています。

 

(文/蘇冠米 翻訳編集・鳥飼聡)

 

関連記事
中国古典舞踊の最高峰・神韻芸術団は20日に来日。待望の2025年神韻世界巡回ツアーが23日に日本の名古屋で開幕する。
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。