中国国内の病院の手術室、参考写真(Getty Images)

中国国内メディア「臓器ドナーの供給は十分」「1日4件の心臓移植を達成」と宣伝

今から15年前の4月20日、米ワシントンで米中首脳会談が行われた。この最中、中国共産党の弾圧に遭う法輪功学習者たちは、ホワイトハウス近くの公園で反迫害集会を開いた。中国の元病院職員アニーさんが登壇し、中国共産党による臓器強制摘出についてのおぞましい体験を暴露した。東北部にある遼寧省瀋陽市蘇家屯の秘密収容施設では、法輪功学習者が臓器を摘出された後、死体は焼却炉に投げ入れられていた。こうしたことが、毎日続いていたという。

中国共産党の圧力により、サングラス姿で匿名を使用するアニーさんは「今日、真相を話したから、私は明日、殺されるかもしれない。しかし、皆さんには、それが中共の仕業だと分かるはずだ」と聴衆にその心境を明かした。

人権団体の追及や中国国内関係者の命がけの証言により、蘇家屯収容施設の例は「氷山の一角」に過ぎないことがわかった。この問題を10数年あまり調査する、米国のNGO組織「法輪功迫害追跡調査国際組織(WOIPFG)」によると、中国では司法、軍、病院が組織的に法輪功学習者ら収容者から臓器を摘出している。さらに、2020年の中共ウイルス(新型コロナウイルス、COVID-19)感染拡大の最中も、臓器狩りは続いているという。

臓器移植では、提供者と患者の血液型、そして組織の適合が重要だ。適合条件があうドナーは、患者一人に対して数百人から数万人のドナーが必要になる。日本や先進国では、臓器移植までに何年も待たなければならない。

中国共産党は「臓器狩りは存在しない」「西側のデマ」などと主張している。しかし、その盛んな移植手術の実施と、1週間や10日間など超短期の待機時間から、今もなお無辜の収容者たちを対象にした「臓器狩り」が続いていることがうかがえる。

武漢協和病院 心臓移植で最高記録を更新

中国メディアの報道によると、武漢聯合病院では、適合する心臓ドナーを短期間で確保できるだけでなく「ドナーの供給は十分」と伝えた。

2021年3月18日の「長江日報」によると、武漢協和病院は100例の小児心臓移植を達成し、全国第一位となっている。心臓移植を受けた7歳児童・凡凡(フェンフェン)さんのために、一週間も経たないうちに、20歳の脳死の男子ドナーが見つかった。

「楚天都市報」は2020年8月7日、「全国初!協和病院は1日に4件の心臓移植手術を達成」という見出しで、協和病院での心臓移植の新たな記録を報じた。報道によると、8月6日の午前10時から翌日午前0時までの14時間の間に、同病院は4件のDBD(脳死)心臓移植を同時に終了したという。これは中国で初めてのことであり、世界的にも極めて珍しいという。

2020年6月、「楚天都市報」は武漢協和病院が10日間で名古屋実習生の患者に4つの心臓を提供したと報じた。実習生の心臓移植には、コロナ禍にもかかわらず、日本と中国の当局が協働して中部国際空港から武漢空港の特別チャーター便を飛ばした。「日中で命のバトンを繋いだ」などと、美談として複数の日本主要メディアも報じた。しかし、大紀元以外の日本語メディアで、なぜ短期間で多く臓器が現れたのかについて報道する媒体はなかった。

中国国内において、短時間でドナーが発見できるのは武漢協和病院だけではない。

2020年9月8日の「新華報業網」で報じられたように、南京市第一病院はその時点までに102件の「心臓移植」手術を完成した。そのうち、54歳の張氏は、拡張型心筋症で入院し、わずか3日後の8月21日に移植用の心臓が入手できた。

「大河報」2020年12月16日の報道によると、鄭州市心臓血管病院は2年半で80件近くの心臓移植を実施していたという。8歳の彤彤(トントン)さんは左心不全で入院し、1週間も経たないうちにドナーが見つかり、11月11日に心臓移植を行った。

「浙江新聞」2020年9月24日の報道によると、浙江大学第一付属病院は2020年に少なくとも20件の心臓移植手術を行っていた。その中の78歳の狭心症患者は同年7月5日に自宅で倒れ、同付属病院に入院し、7月17日にドナーが見つかったという。

臓器の出所はどこ?

武漢協和病院院長の胡豫氏は2018年、同病院は4年連続で心臓移植件数は国内1位だと発表した。武漢協和病院の公式サイトには、「過去5年連続で、310件の心臓移植を行った」とある。

2018年7月12日、「国家医療技術能力と医療品質レベル向上について」の湖北記者会見において、武漢協和病院の胡院長は、同病院の心臓移植が中国の国情特徴に合わせた「中国モデル」の心臓移植であると紹介した。

中国は2015年1月1日から死刑囚の臓器を臓器移植に使わないと発表した。多くの中国移植医たちは、ドナー供給数の低下を想像したかもしれない。しかし、武漢協和病院の心臓外科部長兼臓器移植センター長の董念国氏は、同年12月下旬に「協和病院での臓器移植の件数は、減るどころか逆に増えている」と発言した。また、協和病院での心臓移植の費用は、平均28万元(約468万円)と米国の費用の1/22で、国内で最も安いと宣伝した。

なぜ、短期間で「ドナー」が出処するのか。中国衛生部や赤十字が公表するドナー登録者は人口あたり約0.1%に過ぎない。中国移植業界は、国際機関の第三者による現地調査を拒否し、豊富な移植臓器が提供できる理由について説明を行なっていない。

湖北省の臓器提供数は全国2位だが、2021年4月5日「湖北日報」の報道によると、武漢市は毎年1600体の臓器提供数が必要であるにもかかわらず、毎年の臓器提供数は、わずか200体程度だ。

人間は一人に一つの心臓しかない。他人の心臓を取って移植に使うことは、その人は死亡する。2019年6月、中国臓器収奪問題について、医師や弁護士、検察などからなる第三者委員会が関係者証言を元に裁量した「中国民衆法廷」は、「強制的な臓器摘出は、長年にわたり中国全土で大規模に行われている、法輪功学習者はその被害者の一つであり、おそらく臓器の主な供給源である」と最終裁定を下した。

2021年3月21日、「中国での臓器移植濫用停止国際ネットワーク(ETAC)」は、法輪功学習者やウイグル人などの良心の囚人から臓器を強制的に摘出するという共産党の殺人行為を止めるために、中共の臓器移植産業との関係を断つよう、国際医療界に呼びかける新しいビデオを公開した。「今、行動しなければ、より多くの人が命を落とすことになる」と主張した。

2021年3月15日、中国臓器ビジネスの停止を訴える人権組織「SMGネットワーク」は設立3周年に合わせて、『中国臓器移植の真実 美談報道の裏で何が起きていたのか』と題した書籍を出版した。SMGは、人道犯罪に加担しかねない中国渡航移植を直ちに停止するため、早急に関連法を整備するよう日本当局や議会に求めている。

(翻訳編集・蘇文悦)

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