【掌編小説】蛇を捕える者の涙 柳宗元『捕蛇者説』をもとに改編
永州、というと今日の湖南省にあたる。
その永州の野に、他所にはいない珍しい蛇がいた。毒蛇である。からだは赤黒く、牙は鎌のかたち。頭に五つの星印があって、実に気味が悪い。その体から発する毒気はすさまじいもので、触れた草木はことごとく枯れてしまうという。もちろん人が噛まれたら助かる術はなく、発狂して死ぬのである。
ところが、どういう皮肉か、この草木も枯らす蛇には、猛毒ゆえの激しすぎる薬効があった。捕えて皮を剥ぎ、切って干し肉にする。これを薬として用いると万病に効くというが、実際は体の病んだ部分を腐らせて「そぎ落とす」のである。例えば、壊疽で死んだ皮膚も落としてしまうし、腹中の虫は残らず殺してしまう。劇薬であるから、あくまで運が良ければ治るという意味で、分量を間違えば即死する。
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