中国EC大手「拼多多」創業者が突然辞任 ジャック・マー氏の二の舞回避狙うか

電子商取引(EC)プラットフォーム「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」の黄崢会長(41)が突然、辞任を発表した。競合のアリババグループを抜いて、中国最大の電子商取引企業となったばかりだった。ハイテク企業への取り締まりから逃れるためだとの見方が出ている。

3月17日、拼多多は2020年第4四半期および通期の業績を発表した。2020年12月末時点では、7億8840万人のアクティブバイヤーを擁し、アリババグループを抜いて中国最大のECサイトとなった。

同日夜、拼多多の創業者である黄崢氏は、株主への手紙によって取締役会の会長を退任することを発表した。同氏は、取締役会の承認を得て、現CEOの陳磊氏に会長職を引き継ぎ、特別議決権を手放すとともに、今後3年間は個人名義の株式(同社の約30%)を一切売却しないことを約束した。

辞任の理由について、黄氏は手紙の中で、中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染症などによる外部環境の激変により、社内の事業と組織運営の変化が加速しているとし、創業者として「飛び出して10年後の道を探りたい」との考えを示した。

中国国営メディアの証券時報によると、決算発表後、拼多多の株価は一時5%以上上昇したが、黄氏の辞任の影響を受けて、終値は約7%下落し、下げ幅は一時13%を超えた。翌日の18日も、5.1%の下落となった。

拼多多は、2018年7月26日に米ナスダック市場に上場した際、中国で第3位のECサイトだった。昨年のブルームバーグ・ビリオネア指数によると、拼多多社の会長である黄崢氏の資産は631億ドルで、世界で15位、アジアで3位の富豪となった。

拼多多は、アリババと同様に、偽造品や粗悪品の販売疑惑に長年悩まされてきたが、7億8000万人以上のユーザーを獲得している。中国では低価格商品の需要が引き続き旺盛である。

ハイテク企業への規制強化

黄氏はキャリアの絶頂期に会長職を退いたことで物議を醸している。これは、中国当局がインターネット規制を国家戦略レベルに引き上げたことで、ハイテク企業は粛清から逃れるのが難しくなったことと関係があるとの分析もある。

3月15日、習近平総書記(国家主席)は中央財経委員会第9回会議を主宰し、大量のデータを蓄積し、市場に影響力を持つ「プラットフォーム」に対し、「新たな国家競争力を構築するという戦略的視点から規制を強化する」ことを求めた。

16日付のブルームバーグによると、習氏の異例の強い口調は、北京がハイテク企業に対する「最強」の取り締まりを拡大する準備をしていることを示している。

これまでのところ、危機の矢面に立たされているのはジャック・マー氏のアリババグループとその傘下のアント・グループである。しかし、拼多多、中国大手配車サービスの滴滴出行(ディディ・チューシン)、生活関連サービス大手の美団(Meituan)、EC大手の京東商城など、「プラットフォーム経済」を担う他の大手IT企業もその危機から逃れ難い運命にあると懸念されているという。

中国の国家市場監督管理総局は12日、独占禁止法に違反したとして、滴滴出行やソフトバンクなど12社に50万元(約840万円)の罰金を科したと発表した。

中国では2008年8月1日に独占禁止法が施行された。今年1月初旬に公表された「改正案」では、インターネット産業が初めて規制対象に含まれた。導入されれば、中国のハイテク企業にさらなる影響を与えることが予想される。

(翻訳編集・王君宜)

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