吸玉療法(写真=Adobe stock)

【医学古今】 吸玉療法

吸玉療法とは、ガラスや竹、陶器、磁器などの缶を皮膚に吸い付ける治療法です。この方法は、古代には「角法」と呼ばれ、2千年前からすでに使われていました。現代でも多くの鍼灸治療院で使われています。

 この吸玉療法は、中国では民間療法として多くの家庭に普及しています。昔から「鍼灸抜缶、病好一半」(多くの病気は、鍼灸や抜缶をすれば半分ぐらいは治る)という言い伝えもあります。ここでの「抜缶」はすなわち、日本でいう吸玉療法です。

 「なぜ吸玉で病気を治療できるのですか?」と、患者さんからよく聞かれます。

 伝統的な漢方医学の理論によると、病気があるところには「邪気」が存在しているのです。この「邪気」を追い払えば、病気が軽くなり、回復します。吸玉療法は、まさに皮膚から邪気を吸い出す方法なのです。

 吸玉療法は、広い応用範囲があります。頭痛や腰痛、肩凝り、筋肉痛、関節痛などの疼痛性疾患以外に、多くの呼吸器疾患や消化器疾患にも良い効果が得られます。しかし、皮膚が傷つきやすい人、出血性の傾向がある人、水腫の部位、妊婦の腹部などには、吸玉療法は使えません。

 吸玉をつけた部位には赤い充血斑がしばらく残りますが、2週間ぐらい経てば自然に消えます。

 

(漢方医師・甄 立学)

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