パリで開催された大企業とスタートアップのオープンイノベーションの祭典「VIVA Technology 2019」で演説する馬雲(ジャック・マー)氏=2019年5月16日(Philippe Lopez/AFP via Getty Images)

中国、アリババ創業者が「失踪」 共産党が民間企業の死活決めるというリスク

中国電子商取引最大手、アリババグループ(以下はアリババ)の創業者である馬雲ジャック・マー)氏は、ここ数カ月、公の場に姿を現していない。馬氏の失踪は多くの憶測を呼び起こす一方で、中国の民間企業の脆弱な立場を浮き彫りにしている。

馬氏は昨年10月に上海で開催された外灘金融サミットで講演し、中国共産党の規制・制度が企業のイノベーションを阻害していると批判した。その後、11月、アリババ傘下のアント・グループ螞蟻集団)の総額370億ドルという史上最大規模の新規上場(IPO)計画は頓挫した。中国当局は12月、アリババに対し、独占禁止法違反の疑いで調査を始めた。

馬氏の行方について、一部のマスコミは、同氏が「暗黒の牢屋」に収監されている可能性があるとまで分析している。

政治的判断だ

1月10日米国営放送ボイス・オフ・アメリカ(VOA)によると、中国の政治経済や金融に詳しい米アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所 (AEI)のデリック・シザース(Derrick Scissors)研究員は、「馬氏が行方をくらましたのは、今目立たないようにする必要があると彼が判断したからだ。彼は中国政府の取り調べを受けているが、おそらく拘束されていないだろう」との見解を示した。

シザース氏は、中国の金融規制当局は、世界的な大企業であるアリババを取り締まれるほどの権限を持っておらず、最高指導部である中央政治局、または習近平国家主席自身の判断だとした。「習政権は反政府的な言論を厳しく取り締まっている。金融規制と関係のない政治的な判断である可能性が高い」と同氏は述べた。

「馬氏とアリババへの締め付けは、新しいことではない。安邦保険集団や復星集団(フォースン・グループ)の創業者が拘束されただけでなく、万達集団(ワンダ・グループ)や海南航空も、当局の処罰の対象となった。この傾向は今後も続く。成功した富裕な実業家が、共産党の許しがなければ、中国での自由もビジネスも認められないと気づくだろう」

一方、同氏は、馬氏への締め付けを中国当局の海外投資家へのシグナルだとみている。

「アリババとアマゾンは似ているように見える。しかし、アマゾンと違い、アリババは中国に拠点を置いている。中国共産党は、企業家が自由に発言すれば、企業家の会社や株、資金調達、そして自由さえも危険にさらされるというメッセージを世界に発信した」

「避けられない危険な状況」

中国共産党政治の不確実性が高いため、馬氏とアリババの運命は、国内外の研究者にとって、習近平政権下の共産党の政治・経済政策の方向性を観察し、判断するための道標となっている。

中国の有名な女性ジャーナリスト、高瑜(こうゆ)氏はVOAに対して、現在の中国で「重要な政策決定を行う際、すべて習近平氏の指示に従わなければならない」との認識を示した。アント・グループのIPO中止は、習氏から直接の命令がなければ不可能だと述べた。

高氏は、馬氏とそのグループ企業が持つ莫大な富は中国共産党当局にとって非常に魅力的で、喉から手が出るほど欲しいものと指摘した。馬氏のビジネス王国は、電子商取引に加えて、金融、メディア、エンターテイメントなどにも携わっている。いずれも中国共産党が支配している分野だ。

高氏は、馬雲氏は今中国の他の実業家と同じ、避けられない危険な状況に陥っているとの見方を示した。

独占のための独禁キャンペーン

中国当局は現在、独禁法に違反したという理由でアリババを捜査している。米クレアモント・マッケナ大学(CMC)のミンシン・ペイ(Minxin Pei)教授は昨年12月23日、寄稿専門サイト「プロジェクト・シンジケート」への投稿で、中国当局による「異常な」独占禁止キャンペーンを分析した。記事のタイトルは「独占のための独禁キャンペーン(China’s Pro-Monopoly Antitrust Crusade)」である。

記事は、中国移動通信(チャイナ・モバイル)、中国石油集団(ペトロチャイナ、CNPC)、国家電網公司、資産規模で世界最大の中国工商銀行など、大規模国有企業グループは、いずれも中国経済において、アリババをはるかに上回る支配的な役割を果たしていると指摘した。

しかし、中国政府は国有企業に対する独禁調査を行わないだけでなく、市場支配力と競争力を高めるために国有企業の合併・統合を奨励している。理由は、国有企業が成功すれば、中国共産党は経済的にも政治的にも利益を得ることができるからだ。習主席が昨年4月の演説で、国有企業は中国の特徴を持つ社会主義を実現するための「重要な物質的・政治的基盤」であり、「より強く、より良く、より大きく」しなければならないと強調した。

また、記事は、中国当局が馬氏やアリババを取り締まる主因は、アリババの事業拡大が、国有企業の利益を侵害することにあるとの見解を示した。「民間企業が国有企業の市場シェアを侵食することは、経済の主要部門に対する政権の支配力を弱めるだけでなく、成功した民間企業が中国共産党に挑戦する道を開くことにもなる。(中略)習氏の目には、馬氏とアリババは共産党の政治的独占とその体制の脅威であると映った」

記事は、「民間企業は中国経済の中で最もダイナミックなプレーヤーであることに変わりはない。共産党が民間企業を排除し、国有企業だけを拡大すれば、民間企業の信頼がなくなり、イノベーションや生産性の向上が停滞し、経済が低迷する。長らく経済繁栄の希望に依存してきた一党独裁の『正統性』は必然的に悪化していく」と論じた。

ペイ教授は、習近平政権の民間企業への抑圧で、結果的に損失を被るのは統治を維持したい中国共産党であると指摘した。

(翻訳編集・王君宜)

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