カナダ国会、中国の干渉に対抗する政策求める動議が通過
カナダ国会では11月18日、中国共産党による対カナダ外国干渉をはねのける政策を求める保守党の動議が可決した。動議には、中国の華為技術の次世代通信規格5Gのネットワーク構築を禁止するか、30日以内に決定するよう政府に求める内容も含まれる。
法的拘束力のないこの動議は、賛成179、反対146で通過した。主に、新民主党(NDP)とケベック政団(Bloc Quebecois)により提出された。この動議に賛成した与党・自由党の議員は5人にとどまっている。
動議提出の前、野党・保守党の党首であるエリン・オウトゥール(Erin O’Toole)氏は17日、議会の記者会見で、中国との関係について新たな戦略を作るため、動議の通過を望むと答えた。トルドー政権は、カナダへの圧力に立ち向かうのに十分な行動をとっていないと付け加えた。
2018年、カナダ警察が米国と容疑者引渡し条約に応じて、華為技術・最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏を逮捕した。中国共産党は報復として、在中カナダ人のマイケル・コブリグ氏とマイケル・スペーバー氏を逮捕した。以後、両国関係は悪化の一途をたどっている。
米トランプ政権は、華為技術を中国政府の諜報機関と見なしている。同盟国、とくに情報共有ネットワーク「ファイブ・アイズ(Five Eyes)」に参加するカナダを含めた4カ国に対して、同社との取引禁止を求めている。華為技術は、人民解放軍の元技術者が設立した会社で、中国共産党と関係が深いとされている。
トルドー政権は5Gネットワークの華為製品の使用可否について、決定を先延ばししている。しかし、国内の与野党議員から、華為技術の導入は国の安全保障に危険をもたらすとして、より明確な禁止を決定するよう求める声が強まっている。
両国関係はここ数カ月、中国共産党による香港への圧力や、新疆ウイグル族の迫害エスカレートにより、再び緊張している。カナダの議員はトルドー政権に対して、オーストラリアにならって反スパイ法の制定を求めている。
オウトゥール議員は17日の記者会見で、「カナダは中国共産主義体制の影響力の増大を、取り締まらなければならない」と述べ、世界情勢の中で「中国の台頭はカナダにとって最大の脅威だ」と付け加えた。
同議員は、西側各国は急成長する中国経済へアクセスを得るために、人権侵害、知的財産権の窃盗、貿易慣行問題を数十年来、無視しており、現在この不正に積極的に対応すべきだと主張した。
トルドー首相は11日、英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、中国の圧力に屈して、華為技術の孟氏を釈放することはないと述べた。
フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ外相は17日、国会に出席し、中国を含む外国政府からの干渉と脅威を非常に深刻に受け止めていると述べた。カナダ安全情報局(CSIS)は最近、中国共産党が代理人を通じて、在カナダ華人を脅迫していることを明らかにした。この事件について、外相は、カナダ警察当局が捜査を行っており、必要に応じて国内刑法に基づく刑事告発を行うと述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)