2019年7月、カンボジア政府主催のリアム基地視察ツアーに参加したジャーナリストらが、中国人民解放軍が寄贈したバスに乗り込む(GettyImages)

カンボジア、米支援の海軍基地を解体 中国軍利用の疑惑 米は説明求める

カンボジア南西部にある米国とオーストラリアが支援したリアム海軍基地が「解体」されているとの一部メディアの報道を受けて、カンボジア政府は10月5日、解体ではなく移設工事であると発表した。報道は、中国による軍基地利用が背景にあるとの疑惑を伝え、米国務省が関連する中国企業に制裁を科すという。

カンボジアの国家海上安全委員会は、工事は2017年末より前から決定していた戦略指揮本部の移設計画の一つであるとした。この機関は、米国とオーストラリアの協力で進められている「多機関の法執行を担当する業務部門」だという。

カンボジア当局の説明は、一部メディアで報じられた中国軍による港湾利用の懸念に答えるものだ。米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)は10月1日、衛星画像の分析として、カンボジア政府がシアヌークビル州にあるリアム海軍基地の施設を解体したと伝えた。解体工事は9月5~10日ごろ行われたと推測している。

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