適度なコーヒーの摂取は循環器疾患、2型糖尿病、パーキンソン病のリスク低下につながる(LightField Studios/Shutterstock)

カフェインは健康に良いのか それとも?

カフェインは記憶力と集中力を高めるいっぽう、副作用に苦しむ人も

カフェインは世界で最も広く消費されている刺激剤の1つです。そのためカフェインに対してはさまざまな意見が出されています。はたして健康に良いのか悪いのか、それともまったく影響はないのでしょうか?

カフェインが体内でどのように作用するのか、また健康的な食生活にカフェインを取り入れるにはどのような方法があるのかを見ていきましょう。

カフェインは中枢神経系刺激薬で「メチルキサンチン」と呼ばれる天然由来の化合物群に属します。味はなくそれ自体に栄養素は含まれません。またメチルキサンチンには中枢神経系の「抑制」および伝達能力を遮断する効果があります。これにより中枢神経は最大速度で働くことができます。

カフェインが運動ルーチンに役立つと考える人もいます。カフェインはその抑制能力により疲労感を軽減し、精神的敏捷(びんしょう)性を高めると考えられています。また心臓の脈拍数を増やし、気道をリラックスさせることで酸素消費量の増加につながる可能性があります。

近年のジョンズ・ホプキンス大学の研究では、カフェインが長期記憶を高める可能性があることが示されています。一連の画像を記憶した後に200mgのカフェイン錠を与えられた被験者が、翌日のテストでこれらの画像を類似した別の画像と区別する能力に優れていたことがわかったのです。

ジョンズ・ホプキンス大学で心理学・脳科学の助教授を務めるマイケル・ヤッサ(Michael Yassa)氏は、「カフェインに認知増強効果があることはわかっていましたが、記憶力の強化と忘却耐性における特定の効果が人間に、詳細に見られた例はありませんでした」と語りました。

カフェインをサプリメントとして摂取することは推奨されていません。カフェインはお茶やコーヒー、チョコレートに自然に含まれています。また、ココアやチョコレートプリン、コーヒー風味のヨーグルト、抹茶アイスクリーム、さまざまな種類の飲料など、チョコレートやコーヒー、お茶で味付けされた食品からもカフェインを摂取することができます。

食品や飲料のカフェイン含有量は以下から確認することができます。

アメリカ合衆国農務省(USDA)データベース:(nal.usda.gov/sites/www.nal.usda.gov/files/caffeine.pdf)

 Center for Science in the Public Interest のカフェインチャート:  (http://cspinet.org/eating-healthy/ingredients-of-concern/caffeine-chart)

カフェインの摂取方法としてコーヒーを楽しむ場合、適量のコーヒーを飲むことは循環器疾患、2型糖尿病、パーキンソン病のリスク低下につながります。コーヒーにはカフェインに加えて抗酸化物質として機能するポリフェノールが含まれています。ポリフェノールのメカニズムについてはまだ正確にはわかっていませんが、心臓疾患や呼吸器疾患の重症度を軽減する効果が期待されています。コーヒーに牛乳や植物性ミルクを加えれば、カルシウムやビタミンDの摂取量を増やすこともできます。

コーヒーの抽出方法もカフェイン含有量に影響を与えます。「The Coffee Lover’s Bible」の著者で内科医のボブ・アーノット氏は、淹れ方によって抽出のレベルも異なるのだと説明しています。アーノット氏によれば、高温で淹れた抽出レベルの高いコーヒーほどより多くのカフェインやポリフェノールが含まれます。フレンチプレスやサイフォン式などコーヒー豆を完全にお湯に浸す浸漬式では、透過式(ミスターコーヒー、コーヒーポットスタイル等)よりもカフェイン含有量が高くなります。またコーヒー豆の量を増やして水量を減らせばカフェイン含有量は増加します。

紅茶緑茶にはポリフェノール(コーヒーに含まれる量の約半分)と特定のガンの発生率を抑えるとされる天然物質が含まれています。より効果的な紅茶を淹れるには沸騰したお湯を使うことが大切です。水を沸騰させている間に適量の茶葉をガラスのポットや急須に入れておきましょう。お茶の種類によって茶葉の量は異なるので、パッケージの説明を確認してください。プラスチックや金属の茶器では余計な味が出やすい傾向があります。

まず茶葉に少量のお湯を注ぎ、1分間浸します。次に、お好みの濃さになるまで残りのお湯を加えていきます。浸す時間が長いほどカフェインが多く抽出されますが、長時間放置しすぎると酸味が出てくるので注意しましょう。お茶として飲むだけでなく、ソースやドレッシング、マリネードとしても楽しむことができます。

ココアにはさまざまな種類がありますが、カフェイン含有量は使用するココアの種類や量によって異なります。一般的なココアパウダーで作ったココア1杯分には約5mgのカフェインが含まれます。ただし、カフェで出されるような大きなカップ1杯分のココアには70mg以上のカフェインが含まれる場合があります。また、ミルクチョコレートには1オンス(約30ml)あたり3〜6mg、ダークチョコレートでは5〜20mgのカフェインが含まれます。良質のココアにはセロトニンレベルを調整するテオブロミンが含まれることもあります。セロトニンは感情や気分をコントロールする物質で、心を落ち着かせ、幸福感を高める効果があります。

アメリカ食品医薬品局(FDA)によれば、多くの人にとってカフェインは健康食の1つになり得るものの、摂りすぎると健康に害を及ぼす可能性があります。体重や服薬状況、個人の過敏性などによって「摂りすぎ」とされる量は人によって異なります。FDAのガイドラインでは、一般的な成人であれば1日400mgまでは安全に摂取できると考えられています。もしカフェインの摂取による情動不安や吐き気、不眠、心拍数の増加、頭痛などを感じる方は日々のカフェイン摂取量を見直すとよいでしょう。妊娠中および授乳中の女性は、医師の指示に従ってカフェインの摂取を制限するようにしてください。また子どもや10代の若者は控えた方がよいでしょう。

参考として、ココア1杯(小)には5〜20mg、12オンス(約350ml)のカフェイン入り飲料には30〜40mg、8オンス(約240ml)の緑茶または紅茶には30〜50mg、同じく8オンスのコーヒーには80〜100mgのカフェインが含まれます。栄養ドリンクに含まれるカフェインは、8オンスあたり40〜250mgとさまざまです。

コーヒーや紅茶から完全にカフェインを抜くことはできません。カフェイン抜きのコーヒーや紅茶にも通常のものよりは少ないもののまだカフェインが含まれています。たとえば、カフェイン抜きのコーヒーには通常8オンスあたり2〜15mgのカフェインが含まれます。カフェインに弱い体質の方はこれらの飲料を控えるとよいでしょう。

世界中の人々が長年にわたり、カフェインを含む飲料や食品を楽しんできました。カフェインは必須栄養素ではありませんが、さまざまな健康効果を期待することができます。飲料や食品のカフェイン含有量に注意しながらぜひ楽しんでください!

(大紀元日本ウェブ編集部)

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