中共肺炎が猛威を振るう中の中国製造業の工場(NOEL CELISAFP via Getty Images)

陝西省咸陽市、第1四半期経済データ水増しか GDP伸び率20%以上大幅修正も

中国国家統計局は4月17日、2020年第1四半期(1~3月期)の実質国内総生産(GDP)が前年同期比マイナス6.8%になったと発表した。当局が1992年、GDPの四半期ごとの統計を公表開始してから、GDP伸び率がマイナスになったのは初めてだ。

情報筋がこのほど大紀元に提供した陝西省各県の内部資料は、各県の2020年1~3月期のGDPデータが大幅に水増しされた可能性を示した。中共肺炎(新型コロナウイルス感染症)の爆発的な感染拡大で、中国各地が受けた経済的な打撃は当局の公表よりも深刻であることが浮かび上がった。

陝西省咸陽市統計局は5月6日、同ウェブサイトで、市管轄下の各県の1~3月期GDPデータを公開した。これによると、各県の中、1~3月期GDP伸び率がプラスになったのは長武県だけだ。長武県の同期GDPは23億1000万元に達し、前年同期比0.3%増となった。他の県のGDP伸び率は、前年同期比マイナス3~20.8%となった。

咸陽市政府が公表した各県の第1四半期GDP統計(咸陽市統計局HPより)

一方、大紀元が入手した長武県発展改革局の内部資料「2020年第1四半期経済状況報告」では、中共肺炎の感染拡大で「県内の同期GDPは20億1400万元に達し、前年同期比マイナス4.8%と予測する」と示された。内部資料の日付は4月1日だった。

長武県の内部経済資料の一部(大紀元)

咸陽市当局が、長武県のGDPデータを20億1400万元から23億1000万元に、同県のGDP伸び率をマイナス4.8%からプラス0.3%へと、約5%以上修正したことがわかる。

また、咸陽市の三原県、旬邑県、淳化県3県の「2020年第1四半期経済状況報告」によると、3県の1~3月期GDP伸び率はそれぞれ、マイナス40%、マイナス20%、マイナス27%となった。

これに対して、咸陽市当局は、3県の同期GDP伸び率はそれぞれ、マイナス17.9%、マイナス6.5%、マイナス13.7%と公表している。中に、三原県のGDP伸び率は22.1%と大幅に上方修正された。

市当局のデータではこの3県のGDP数値も大幅に押し上げられた。例えば、内部資料では三原県の同期GDPは「17億元と見込まれる」に対して、咸陽市当局は同県のGDPが37億1300万元に達したと発表。

三原県の内部資料(大紀元)

旬邑県の内部資料(大紀元)

中国では、各省・市・県の発展改革局が所在レベルの政府に「経済状況報告」を出し、内部で閲覧されている。鎮や村から県へ、県から市へ、市から省へと各レベルの政府は経済データをその上級部門に提出し、最後に中央政府の国家統計局がデータを集計する。

長武県などの内部文書と咸陽市の公表は、中国の地方政府の間で横行する経済データの水増し問題を改めて浮き彫りにした。中国国内では、咸陽市政府による経済データの粉飾は氷山の一角にすぎない。中国共産党政権では、GDP数値は幹部の業績を査定する指標の一つにされているため、各地の経済データの粉飾は後を絶たない。

2017年以降、遼寧省や内モンゴル自治区、天津市など各地方政府は、過去のGDP統計に水増しがあったと次々と認めた。

咸陽市の各県の資料に基づき、中国当局が発表した第1四半期のGDP伸び率は大幅に改ざんされたと推測する。

一方、長武県などの「第1四半期経済状況報告」は、中共ウイルスのまん延が地方の経済活動を圧迫していることを示した。

長武県政府は資料で、「感染拡大以降、一部の製造業は生産再開したものの、フル稼働には至っていない」「全県の小売りや飲食、ホテルなどサービス業はほとんど休業や営業停止となった。第三産業の経済増長に大きな影響を与えた」などと明かした。

三原県の内部資料は、「感染拡大を受けて、一定規模以上の企業の多くは、1〜2月まで生産停止となった」「第三産業の企業の大半は停滞に陥った」とした。

旬邑県は、県内多くの企業が生産を再開したものの、稼働率が低いことや、「消費需要が明らかに低迷している」「消費市場の不振は続くだろう」などの認識を示した。

(翻訳編集・張哲)

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