認知症は、脳機能障害による病気である。一般には高齢化と共に発症者が多くなるが、最近、若年認知症という言葉もよく耳にするようになった。現代医学では、脳機能障害の原因はアルツハイマー病や多発性脳梗塞によるものが多いが、原発性疾患の成因がはっきりせず、予防は難しいと考えられているが、漢方医学の理論では、脳の働きは腎精の充実と脳血流循環に強く関連しているので、腎精の充実と脳血流の正常な循環が、認知症の予防に効果があると考えられる。この理論に基づき、次のような方法を用いて予防することができる。
1、腎精を補う食品の摂取
腎精を補う作用がある食品としては、黒大豆、黒ゴマ、黒豚の肉、くるみ、栗、長芋などがあり、中高年の人は日常生活の中で、意識的にこれらの食品を適量に摂取するとよい。
2、腎精を補う漢方薬の使用
医療保険で適用されている補腎薬としては、六味丸や八味地黄丸などがある。他に漢方薬局で入手可能なものとしては、海馬補腎丸、三鞭丸がある。これらは保険が適用されないので、やや高価である。
漢方薬を使う場合は、体質判断が必要なので、医師や薬剤師に相談した上で使用したほうが無難である。
3、脳循環の改善に有効な鍼灸、指圧療法
鍼灸と指圧などの治療法は、つぼ刺激を利用して、脳循環を改善することができる。よく使われるつぼとして、百会(頭頂部)、天柱(後頚部)、腎兪(腰背部)、太渓(足首の内側)などがある。
4、明るい性格の人は認知症になりにくい
アメリカのある研究グループは、3500人の対象者を40年にわたって追跡調査した結果、社会生活において、悲観的な考え方や、性格が憂うつな人は、一般の人より認知症にかかる率が40%高い。
漢方医学の理論からも、憂うつの精神状況が気の滞りを起こし、血流の循環に悪影響を及ぼすと考えられるので、良好な精神状態は、認知症の予防だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えることは間違いない。
しかし、生活環境、性格、心理状態などの要因で、憂うつの状態から脱け出すことは、そう簡単ではない。このような人には、気功修煉法がよい効果をもたらし、参考になると思う。興味がある方は、『法輪功』(日本語、文芸社出版)をご参考になってください。
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