中国当局、20代の市民ジャーナリストを拘束か、武漢P4実験室を訪ねた後

中国では、中共肺炎新型肺炎)の発生源である湖北省武漢市で取材活動を行っていた公民記者(市民ジャーナリスト)、李澤華さん(25)の消息が2月26日以降、途絶えた。当局に拘束されたとみられる。中共肺炎の感染拡大以来、当局に拘束された3人目の独立系市民ジャーナリストだ。

李さんは今月中旬、武漢入りし、葬儀業者や、移動禁止措置で武漢市に留まっている地方出身者などを取材していた。その取材動画をYouTubeに投稿した。

26日午後、李さんはSNSに動画を投稿した。動画は李さんが運転する車の中で撮影されている。李さんは動画の中で、武漢市にあるP4実験室(バイオセーフティーレベル4実験室)の現在の様子を見てきたと話し、国家安全当局の職員とみられる人に追われていると緊迫した状況を伝えた。

李さんは、中国マスメディア分野の名門校である中国伝媒大学を卒業した後、国営中央テレビ放送(CCTV)で番組司会者を務めた。2018年以降、セルフメディアを運営している。

一方、中国国内では、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染者急増の原因は、武漢市のP4実験室(中国科学院武漢国家生物安全実験室)からウイルスが漏えいしたためだと指摘の声が上がっている。

26日、ホテルに戻った李さんは再び動画を投稿した。李さんは、この動画が「自分のfinal speech(最後のスピーチ)かもしれない」と話し、部屋の外で待っている国家安全当局の職員に対して「武漢に来て取材したことは憲法に違反していない。両親に恥じることはないし、伝媒大学にも、25歳の自分にも恥じることは何もない」と訴えた。

また、李さんは動画の中で、1989年の学生による民主化運動「天安門事件」に言及し、「座り込みはもう役に立たなくなった。今の若者は過去に何が起きたのかすら、わかっていない」「それでも、多くの若者に目覚めてほしい」と語った。この後、李さんは自らドアを開け、国家安全当局の職員を部屋に入れたが、そこで動画は止まった。

ネットユーザーは、李さんを 「中国の英雄だ」と称える一方で、李さんの身の安全を懸念した。

中国当局はこれまで、インターネット上で武漢市の感染実態を伝えた市民ジャーナリストの陳秋実さんと方斌さんを身柄拘束した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
アメリカ議会下院特別委員会は新型コロナの最終報告書を発表。中国の責任や対策の教訓を指摘している
アメリカで依然としてエリス変異株が主流である中、科学者たちは新たなCOVID-19変異株「ピロラ」(BA.2.86)に注目しています。ピロラは多くの変異を持ち、免疫回避の可能性が指摘されていますが、感染力は低い可能性もあります。現在のワクチンや治療法が効果を持つことが期待され、今後の監視が続けられます。
中国で新型コロナウイルスの強力な変異株KP.2とKP.3が急速に拡大。多くの医療従事者も感染し、病院は満杯だという。学校での集団感染リスクも増加。個人防護の強化を求める声が高まっている
WHOは、世界中で新たな感染の波が起こっていると警告した。各国政府に対し、新たなワクチン接種キャンペーンを開始するよう要請している。
ミネソタ州最高裁判所は6対0で、州の新型コロナウイルス緊急事態宣言は合法であるとの判決を下した。