米国務長官、カザフスタンに中国の投資を警告 人権侵害阻止への協力呼びかけ
中央アジアのカザフスタンを公式訪問したマイク・ポンペオ米国務長官は、同国に中国の投資と影響を警戒するよう促した。また、中央アジア諸国に中国政府に少数民族の弾圧停止を要求する取り組みに加わるよう求めた。
カザフスタン大統領府は2月2日、首都ヌルスルタンの大統領宮殿で、ポンペオ長官とトカエフ(Kassym-Jomart Tokayev)大統領が会談したと発表した。さらに、ムフタル・トルベルディ( Mukhtar Tleuberdi)外相と共同会見を開いた。
AP通信などによると、ポンペオ米長官は、訪問諸国にも伝えてきたメッセージと同様、中国投資の背景には主権を脅かすリスクがあるとし、国の長期的な発展を阻害するものになると説明した。
各国貿易情報サイトOECによると、2017年、カザフスタンの輸出国は中国が58億6000万ドルで1位、輸入では中国は52億1000万ドルで2位。輸出高441億ドルのうち、原油やガス、鉱物など天然資源が7割を占める。
中国共産党主導の広域経済圏構想「一帯一路」は2014年以来、数十カ国に計1兆ドル規模のインフラ建設と開発投資を行い、現代版シルクロードを構築する。中国と欧州を繋ぐうえで、中央アジアのカザフスタンは、地理的に主要な交通路となる。カザフスタンは中国の投資計画としてコルゴス東部ゲイツ経済特区(Khorgos Eastern Gates Special Economic Zone)を設置した。しかし、特区最高執行責任者ヒチャム・ベルマアチ氏は2019年4月の現地紙の取材で、地域経済は「人、技術、物流を強化する必要があり、ほおっておけば(プロジェクトは)無用の長物」と懸念を口にしている。
中国の影響力が拡大するなか、米トランプ政権は中央アジア諸国との関係国の繋がりを強化する狙いがある。2018年1月、トランプ大統領はヌルスルタン・ナザルバエフ(Nursultan Nazarbayev)初代大統領をホワイトハウスに迎えた。ポンペオ長官は今回の訪問でも、事実上の最高権力者ナザルバエフ氏と面会している。
「選択の自由の下、米国は、カザフスタンが希望する国と取引することを支持しているが、米企業と提携すれば最良の結果を得ると確信している」と共同記者会見で述べた。「公正な取引で雇用創出ができ、契約の透明性が得られる。自然環境に配慮する企業の参入は、質の高い仕事に関わるチャンスとなる」
ポンペオ長官は会見のなかで、両国を結ぶ航空直行便の検討、米農業大手Tyson Foodsの牛肉加工共同施設の建設、米石油大手ChevronとExxonMobilの、カザフスタンの石油およびガス部門への投資継続などについて協議したと述べた。
トルベルディ外相は、情報技術と科学研究における2国間の協力を拡大する可能性もあると述べた。
ポンペオ長官は、カザフスタンとの関係を強めることで「経済的な繁栄と民主主義を高め、政府と国民の信頼を築く」ことを目的としているとした。米国はこれを歓迎していると述べた。
ポンペオ長官は2日、ヌルスルタンにある米大使館公邸でカザフ系中国人数人と面会した。約100万人が集中管理施設に収容されている問題を受けて、収容者の家族から話を聞いた。カザフスタン当局が彼らを難民として受け入れ、中国に強制送還せず、保護する姿勢を支持した。
中国西部の新疆ウイグル自治区は、カザフスタンと国境を接している。ポンペオ長官は会見で、「迫害停止に向けて圧力をかける動きに全ての国が参加するよう米国は呼び掛ける」と述べた。
(英語大紀元ELLA KIETLINSKA/翻訳編集・佐渡道世)