武漢の病院内部を撮影した投稿者は逮捕されたが、まもなく釈放された。写真は1月31日、武漢の病院に務める医師。参考写真(GettyImages)

遺体が相次ぎ運ばれる 武漢病院内部を撮影 投稿者は拘束

2月1日、中国のインターネットで、湖北省武漢市の第五病院を撮影した民主運動活動家の男性が逮捕された。国内外で動画が出回り注目を集めたためか、男性は数時間後に釈放された。

武漢市在住の民主活動家・方斌氏は武漢市の第五病院を訪れ、院内の状況を撮影した。方氏は、病院に駐車している火葬場のワゴン車のドアが開け放たれたままだったので、ワゴン車内を撮影した。ビニール袋に包まれた「遺体が8体ある」と述べた。「さっきは3体しかなかったが、外来の状況を見に行って戻ってきたら8体になっていた」と言った。

方氏が撮影した動画は、国内外のソーシャルサイトで瞬く間に広がった。

同日夜、方氏の自宅に、伝染病予防当局者を名乗る防護服を着た人物と警官が訪れた。その模様を方氏自身が撮影した。映像には、玄関の格子扉の先に「体温を測るからドアを開けなさい」と要求する様子が映っている。

拘束から数時間後、方氏は釈放された。拘束時の様子について「ある段階で警察の態度が急変した」ように感じたという。のちに、自身の動画が広く拡散され、反響を呼んでいることを知った。方氏は警察に、デスクトップパソコンとノートパソコンを押収されたという。

方氏は、再び拘束されることを恐れているが「その時はメッセージを広めて釈放を求めて欲しい」と呼び掛けた。「怖がっていても駄目だし、彼ら(当局)に懇願するのも無駄だ」「唯一の方法は、私たちは互いに助け合い、連携することだ」と述べ、動画のシェアに協力してくれたすべての人に感謝を示した。

方氏が動画撮影した武漢市第五病院では、多くの医療関係者が感染したとの情報がある。1月26日、同病院の告発者を自称する人物は第五病院で「一晩に70人以上が死亡」し、そのなかには医師や看護師が含まれると伝えた。

ツイッターユーザーの「獨行俠」は武漢市火葬場で働く知り合いに問い合わせたところ、「ワゴン車1台に7〜8体の遺体を積んでいる。1日に10〜15台の車が来ている。武漢の状況は皆さんが想像する以上だ」と伝えられた。「獨行俠」は発信する全ての情報に責任を持つとツイッターに投稿した。

武漢市内に火葬場は7カ所あるという。

武漢の火葬場は遺体収納袋が不足しているとして、支援を呼びかけている。

 

中国国内の動画情報サイト・梨視頻によると、医療従事者が不足している武漢市第五病院へ、江西省から138人の医療チームが派遣された。江西省人民病院の感染管理課長・李福太博士は「この(第五)病院は(医療従事者の)感染症対策が十分ではなかった。彼らのプレッシャーは相当なものだったろう。彼らはほとんど崩壊寸前だった。泣き果てて、とても悲しかっただろう」と述べている。

武漢市第五病院の公式統計によると、1月22日14~24時まで、発熱の診察件数は1200件に達し、緊急対応は1700件と、同病院で最多記録だとした。

(苗薇/翻訳編集・佐渡道世)

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